はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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コラム/費用と見積

負担の話が始まる前に費用は誰が払うのか、
立場によって変わります。

見積を受け取ると、すぐに「これは誰が払うのか」という話になります。ご遺族なのか、連帯保証人なのか、貸主なのか。

ここでは、条文と公的資料で確認できる範囲を整理します。確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。その線引きこそが、専門家に何を聞けばいいかの手がかりになるためです。

相続人が負担する場合

民法は、相続人が相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定めています1。また、相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁するとされています1

ここは、はっきりしていません

特殊清掃の費用が「相続財産に関する費用」に当たるかどうかを明記した公的資料は、当サイトの調査では確認できませんでした。条文は費用一般の規定であり、どの費用が該当するかを列挙した官公庁の解説は見つかりませんでした。

相続財産から支払えるかどうかは、財産の内容と各相続人の合意によります。他の相続人がいる場合は、立て替える前にひとこと相談しておいてください。

そして、相続放棄を検討している方に、もうひとつ知っておいていただきたい定めがあります。

相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

民法第940条第1項(令和5年4月1日施行)1

放棄をすれば相続人ではなくなります1。ただ、放棄の時点でその財産を現に占有していた場合は、引き渡すまで保存する義務が残ります。「放棄したので、あとは知りません」で終わらない場合がある、ということです。鍵を預かっている方は、この点を専門家に確認してください。

賃貸で、連帯保証人がいる場合

2020年4月1日以後に結ばれた賃貸借契約では、個人が連帯保証人になる場合の扱いが変わりました。法務省の解説から、要点は2つです。

  • 極度額(上限額)の定めがない個人の根保証契約は無効です。「◯◯円」と明瞭に定め、書面に記載しておかなければならない、とされています2,1。契約書に上限額の記載が無いなら、そこは確認する価値があります。
  • 主債務者が亡くなったことは、元本の確定事由です。その後に発生する主債務は保証の対象外になります2,1

ただし、この改正は施行日より前に結ばれた契約には適用されません2。古い契約のままなら、扱いが変わります。まず契約書の日付を見てください。

原状回復についても、民法は通常の使用による損耗と経年変化を義務の範囲から外しています1

ここも、はっきりしていません

孤独死による汚損の原状回復費用を連帯保証人が負担するのかを判断した公的資料は、確認できませんでした。亡くなった時点で既に発生していた債務なのか、その後に発生した債務なのかで結論が変わり得る論点ですが、これを整理した官公庁の解説は見つかりませんでした。

請求を受けている場合は、契約書と請求書を持って弁護士または司法書士にご相談ください。

保険が使えることがあります

ここは、ご遺族側からはほとんど知られていない部分です。

賃貸住宅で入居者が亡くなった場合の費用を補償する保険には、2つの型があります。日本少額短期保険協会の整理では、次のようになっています3

大家型入居者型
保険の種類費用保険家財保険
保険契約者家主・管理会社入居者
保険金を受け取る人家主・管理会社入居者(=相続人)
補償の内容遺品整理(残置物処理)費用/原状回復費用/家賃損失遺品整理(残置物処理)費用/原状回復費用ほか
保険料の目安1部屋あたり月額数百円程度2年間で20,000円程度

右の列に注目してください。入居者型は、故人がご自身で入っていた家財保険に、遺品整理費用や原状回復費用の補償が付いたものです。そして保険金を受け取る人は、入居者(=相続人)とされています3

国土交通省の資料でも、入居者型は「家財保険、残置物処理費用、原状回復費用の補償」と説明されています4

賃貸借契約書と、保険証券を探してください

賃貸契約のときに火災保険や家財保険へ加入しているケースは珍しくありません。その保険に遺品整理・原状回復の補償が付いていれば、ご遺族が請求できる可能性があります。

まず賃貸借契約書と保険証券を探し、保険会社に「遺品整理費用と原状回復費用の補償が付いているか」「誰が請求できるか」を確認してください。補償の内容は商品や取り扱い会社によって異なります3。管理会社が窓口になっている場合もあります。

参考までに、同協会が集計した保険金支払データでは、2024年度の平均損害額が遺品整理294,131円、原状回復494,344円でした3。これは保険に加入していた事例の集計であり、費用の相場ではありません。

払えないとき、何があって、何が無いのか

調べた結果を、そのまま書きます。

生活保護の葬祭扶助は、特殊清掃の費用を対象として列挙していません。生活保護法が定める葬祭扶助の範囲は、検案・死体の運搬・火葬又は埋葬・納骨その他葬祭のために必要なもの、の4つです5。居室の清掃・原状回復・遺品整理は、この列挙に含まれていません。

名古屋市の制度は、生前に契約するものでした。名古屋市あんしんエンディングサポート事業は、家財処分を支援内容に含みますが、対象は市内在住で65歳以上・一人暮らし・直系卑属がいないなどの要件を満たす方がご自身で契約し、費用を預託する仕組みです6。亡くなった後にご遺族が使えるものではありません。

当サイトが名古屋市・愛知県の公開情報を確認した範囲では、ご遺族が負担した特殊清掃費用を事後に助成する制度は、確認できませんでした(2026年8月時点)。

相続人がいない、全員が放棄した場合

相続人の存在・不存在が明らかでないとき(相続人全員が相続放棄をして相続する者がいなくなった場合を含みます)は、家庭裁判所が相続財産清算人を選任します7。申立てができるのは利害関係人と検察官で、申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です7,1

ただし、費用がかかります。名古屋家庭裁判所の手引には、清算費用や清算人報酬等の見込額として「70万円程度」を申立人に予納していただくと書かれています(事案により70万円を超える場合もある、との注記つき)8。相続財産が形成されない場合は、全額または一部が返還されないことがあるとも記載されています。

これは貸主側が明渡しのために申し立てる場面で問題になる金額です。ご遺族の側でこの選択肢を検討する場合も、費用対効果を先に確かめてください。

まず手元に用意するもの

誰が払うのかを詰める前に、次の3つを探してください。話がここから具体的になります。

1賃貸借契約書

契約の日付(2020年4月1日の前か後か)、連帯保証人の記載と極度額、原状回復の特約。この3点を見ます。

2保険証券、または保険会社からの郵便物

火災保険・家財保険に入っていた形跡がないかを探します。管理会社が把握していることもあります。

3見積書(項目別のもの)

請求先を分けて話すには、どの作業がいくらかが分かれている必要があります。「一式」の見積書のままだと、負担の分担も決められません。

そのうえで、相続放棄を検討している場合は、費用を立て替える前に専門家に確認してください。支払いが相続財産の処分と評価される可能性については、相続放棄と部屋の片付けに書いています。

よくあるご質問

相続放棄をすれば、費用を払わなくてよいのですか

相続放棄をすると、その相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされます。ただし、放棄の時点で相続財産を現に占有していた場合は、引き渡すまで自己の財産におけるのと同一の注意をもって保存する義務があるとされています。鍵を預かっている場合などは扱いが変わりますので、専門家にご確認ください。1

貸主から原状回復費用を請求されました

まず賃貸借契約書をご確認ください。民法は、通常の使用による損耗と経年変化を原状回復義務の範囲から外しています。そのうえで、孤独死による汚損をどう扱うかについては、当サイトが確認した範囲で公的な判断が見当たりませんでした。請求書と契約書を持って、弁護士または司法書士にご相談ください。1

保険に入っていたかどうか、どうやって調べますか

賃貸借契約書、保険証券、保険会社からの郵便物、通帳の引き落とし履歴を確認してください。賃貸契約時に加入していることが多いため、管理会社が把握している場合もあります。生命保険については、生命保険協会に契約の有無を照会する制度があります。

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出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第885条・第896条・第904条の3・第909条の2・第921条・第939条・第940条・第621条・第653条・第654条・第656条・第465条の2・第465条の4・第7条・第11条・第15条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-13取得)
  2. 法務省民事局「2020年4月1日から賃貸借契約に関する民法のルールが変わります」https://www.moj.go.jp/content/001399957.pdf(2026-08-05取得)
  3. 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第10回 孤独死現状レポート(2025年12月発行)」https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_10th.pdf(2026-08-04取得)
  4. 国土交通省「大家さんのための単身入居者の受入れガイド(令和7年10月・第5版)」https://www.mlit.go.jp/common/001338112.pdf(2026-08-05取得)
  5. e-Gov法令検索(デジタル庁)「生活保護法(昭和25年法律第144号)第18条(葬祭扶助)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144(2026-08-05取得)
  6. 名古屋市健康福祉局「名古屋市あんしんエンディングサポート事業」https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000157172.html(2026-08-05取得)
  7. 裁判所「相続財産清算人の選任」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html(2026-08-05取得)
  8. 名古屋家庭裁判所「相続財産清算人選任申立ての手引【相続財産 R050401版】」https://www.courts.go.jp/nagoya-f/vc-files/nagoya-f/04kajibu/05/souzoku/souzokuzaisanseisanninsenninmousitatenot....pdf(2026-08-05取得)

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