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虫が出てしまったとき殺すより先に、
出どころを止めます。
ハエが出る。窓を開けられない。市販の殺虫剤を撒いても、翌日また出てくる。順番が決まっています。国の資料に、その順番が書かれています。
国が示している順番
厚生労働省は、建築物の衛生管理についてIPM(総合的有害生物管理)という考え方を示しています1。ここでいう「ねずみ、昆虫等」には、ハエ、ゴキブリ、蚊、ノミ、シラミ、ダニなどの衛生害虫が含まれます1。
大事なのは順番です。最初に来るのは駆除ではありません。
- 一 発生源対策
環境の改善、侵入防止。ここが最初です。定期的な清掃、床・壁・天井のすき間や亀裂の補修によって、発生源をなくし、侵入を防ぐとされています1。
- 二 調査
発生場所、生息場所、侵入経路、被害の状況を調べる。IPMは生息調査を重視する防除の体系だと説明されています1。
- 三 防除
人や財産、環境への影響を最小限にする方法で、最も経済的な方法で被害を許容できない水準以下に抑える1。
においと、まったく同じ構造です
においも虫も、表に出ているものを消しても、出どころが残っていれば戻ります。
当サイトがにおいが消えないときで「まず、どこまで染みているかを確かめる」と書いているのと、国が虫について「まず発生源対策」と書いているのは、同じことを言っています。
なぜ繰り返すのか
亡くなってから時間が経った場合、体液の漏出や臭気が生じることが法医学の総説で指摘されています2。漏れたものが床材の継ぎ目や下地に届いていれば、そこが発生源になります。
表面を拭き、殺虫剤を撒いても、下地に届いたものはそのままです。数日おいて、また出てきます。
ですから、確かめるべきなのは「どの殺虫剤が効くか」ではありません。「どこまで染みているか」です。清掃を頼むときの最初の質問も、そこになります。
日数が経つほど、手を入れる範囲は表面から建物の内側へ広がります。虫が出ている段階では、すでに表面の清掃だけでは収まらないことが多くなっています。
あなたの立場でできること
1ご遺族・ご親族の場合
部屋に入れる状態であれば、窓を閉めたまま、清掃の会社に連絡してください。ご自身で作業を始める前に読んでいただきたいことを自分で片付けようと思っている方へにまとめました。警察の対応中で入れない場合は部屋に入れない間に起きていることへ。
2近隣にお住まいの場合
隣室というだけでは、部屋に入ることも清掃を発注することもできません。動かせるのは貸主・管理会社、分譲なら管理組合、それでも進まなければ自治体です。誰にどう伝えるかは隣の部屋で亡くなった方がいたときに整理しています。
3貸主・管理会社の場合
賃借権も室内の動産も相続人に承継されるため、貸主の判断だけでは室内に入れません。いつ何ができるようになるかは次の募集までの時間表に、条文の期日で整理しています。
4飼われていた動物が多い場合
背景に別の問題があることがあります。環境省は、この場合に動物愛護管理部局と社会福祉部局の連携が必要だとしています(動物がたくさんいる部屋の片付け)。
会社に頼むときに
- 「発生源はどこですか。どうやって確かめますか」──これが最初の質問です。ここに具体的な答えが返ってこない場合、範囲を決めずに作業に入ることになります
- 駆除と清掃が、見積の行で分かれているか。「害虫の駆除」は各社が公開している単価で1万〜5万円の幅があります3,4。床材の撤去が必要かどうかで、総額はまったく変わります(費用が心配なとき)
- 駆除だけを専門に頼むなら、公的な名簿から探せます。建築物ねずみ昆虫等防除業という登録制度があり、愛知県は登録営業所の一覧(119営業所)を公開しています(「登録」の表示を名簿で確かめる)
- 作業中に部屋へ入れない時間があるか。薬剤やオゾンを使う場合、立入りが制限されます(作業中、部屋に入れない理由)
- 再発したときの取り決め。においの保証と同じで、期間・判定の方法・再施工の範囲・費用の負担者の4つを書面で(においが消えないとき)
無許可の回収業者に渡さないでください
汚損した家財を処分する場合も、家庭から出た廃棄物を業として運ぶには市町村ごとの許可が必要です。国民生活センターには、許可を受けずに違法に回収を行う事業者をめぐる相談が寄せられています5。
渡した後の責任は、出した側にも残ります(無許可の回収業者と、排出者責任)。
よくあるご質問
市販の殺虫剤で駆除できますか
目の前の個体は減らせます。ただし厚生労働省のIPMの考え方では、発生源対策が最初に来ます。発生源が室内にある場合、殺虫剤だけでは繰り返します。まず発生源がどこかを確かめてください。1
隣の部屋から出ているようです。自分で何かできますか
隣室というだけでは部屋に入れませんし、清掃を発注することもできません。動かせるのは貸主・管理会社、分譲であれば管理組合、それでも進まない場合は自治体の窓口です。「隣の部屋で亡くなった方がいたとき」に、誰にどう伝えるかを整理しています。
駆除だけを頼めますか
会社によります。ただし発生源が残ったままの駆除は繰り返します。清掃の範囲と駆除の範囲がどう分かれているかを、見積の行で確認してください。
大家です。入居者の部屋で発生しています
室内に入るには相続人の同意が必要です。賃借権も室内の動産も相続人に承継されるため、貸主の判断だけでは進められません。いつ何ができるようになるかは「次の募集までの時間表」にまとめています。
出典
- 厚生労働省「建築物における維持管理マニュアル 第6章 ねずみ等の防除──IPM(総合的有害生物管理)の施工方法」https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei09/pdf/03g.pdf(2026-08-13取得)
- 日本医科大学医学会「金涌佳雅「孤立(孤独)死とその実態」日本医科大学医学会雑誌 2018年14巻3号 100-112頁」https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/014030100.pdf(2026-08-04取得)
- マインドカンパニー「特殊清掃 作業別料金表」https://www.mind-company.jp/body/price(2026-08-04取得)
- エバーグリーン「特殊清掃 料金表」https://evergreen-is.com/price/(2026-08-04取得)
- 独立行政法人国民生活センター「不用品回収サービスのトラブル──市区町村から一般廃棄物処理業の許可を受けず、違法に回収を行う事業者に注意!(2022年11月2日公表)」https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20221102_1.html(2026-08-04取得)
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