見積書が税別でした。おかしいのではありませんか
国税庁は、見積書・契約書・請求書等は総額表示義務の対象とはならないとしています。税別で書かれていること自体は、決まりに反するものではありません。ただし、支払う金額を知るためには税込みを確かめる必要がありますので、遠慮なくお尋ねください。2
コラム/費用と見積
ウェブサイトには「30,000円〜」とあったのに、届いた見積書の数字が思っていたより大きい。よくあるずれです。
理由のひとつは、広告の価格表示と見積書とで従う決まりが違うことにあります。もうひとつは、「合計」の下にまだ確定していない金額が残っていることです。どちらも、自分で確かめられます。

まず、広告の側です。消費税法63条はこう定めています。
事業者…は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等を行う場合…において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
消費税法 第63条1
ウェブサイトの料金表、チラシ、店頭の掲示。これらは税込みで書かれているはずです。
では見積書はどうか。国税庁が、そのものずばりのQ&Aを出しています。
総額表示の義務付けは、不特定かつ多数の者に対する値札や店内掲示、チラシあるいは商品カタログにおいて、「あらかじめ」価格を表示する場合を対象としていますから、見積書、契約書、請求書等については、総額表示義務の対象とはなりません。
国税庁 タックスアンサー No.6902 Q&A「総額表示義務のない場合」2
つまり、税別の見積書が出てきても、それ自体は問題ではありません
見積書は特定の方に向けて出す個別の書面なので、総額表示義務の対象から外れています2。税別で書かれていること自体を責める話ではありません。
ただ、読む側からすると、広告の数字と見積書の数字が同じ土俵に乗っていないことになります。だから比べるときは、自分で税込みにそろえてから比べる必要があります。ここを知らないまま2社の見積を並べると、片方が税別・片方が税込で、判断を誤ります。
総務省行政評価局が、遺品整理サービスの事業者から見積書の提供を受け、記載をそのまま報告書に載せています3。3つの例のうち2つは、合計欄の下に消費税込みの行が続く形でした。
| 例 | 合計 | 消費税込み |
|---|---|---|
| 作業を時間単価、廃棄物処理費を1㎥あたりで算出した例 | 178,000円 | 192,240円 |
| 「遺品・不用品整理代行」を1㎥単価で算出し、買取り品を相殺した例 | 194,500円 | 210,060円 |
総務省行政評価局・報告書 表6より3。報告書は令和2年3月で、例は消費税8%のときのものです。現在の税率とは異なりますので、金額そのものではなく書き方の構造をご覧ください。
この形であれば、読む側は迷いません。合計と税込みが同じ紙の上に並んでいるからです。問題は、片方しか書かれていない場合です。
報告書に載っているもうひとつの例が、実務を知るうえで役に立ちます。5DK+納戸+屋根裏収納、予定日数5日、延べ25人体制という規模の見積です3。
| 品目 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|
| 家財品処分費(廃棄物の運搬は許可事業者を手配。一時立て替えし、実費を別途請求) | 80,000 | 別途実費(左記は概算料金) |
| 家電品処分費(リサイクル料金・運搬料を実費で別途請求) | 30,000 | 別途実費(左記は概算料金) |
| 仏壇処分費 | 45,000 | 45,000 |
| 諸経費 | 11,360 | 11,360 |
総務省行政評価局・報告書 表6より抜粋3。合計(概算)は579,360円、消費税8%込みで625,709円と記載されています。
そして、この見積書の備考にこう書かれています。
最終的な請求金額は、上記金額合計+別途実費の処分費-買取り代金
同(事業者の見積書の備考欄)3
「合計」は、最終の金額ではありませんでした
合計欄には625,709円と書かれています。けれども備考を読むと、そこに別途実費の処分費が足され、買取り代金が引かれると書かれています。合計は通過点であって、着地点ではありません。
この見積書自体は、備考でそう明示しているぶん誠実な書き方です。困るのは、「別途実費」の行があるのに備考が無い見積書です。そのときは、こう聞いてください。
「この見積の合計と、最終的にお支払いする金額は、同じですか。違うなら何が足されますか」
あわせて、同じ見積書には「廃棄物処理費の支払を一時立替払することの了承について、依頼者の署名捺印」という行もあります3。立て替えてもらう形なら、後から実費が来ます。署名する前に、その実費の見込み幅を聞いてください。
3つ目の例では、買取り品がマイナスの金額で並んでいました3。
| 買取り品(サービス料金と相殺) | 金額 |
|---|---|
| 洗濯機 | △500円 |
| テレビ | △2,000円 |
| 家財一式 | △5,000円 |
総務省行政評価局・報告書 表6より3。同じ見積書には、対応可能エリア外であるためのオプションとして交通費10,000円も計上されています。
ここで見るのは、この買取額が確定なのか、見込みなのかです。作業当日に「思ったより値が付かなかった」となれば、そのぶん支払う額は増えます。
また、買取りを伴う場合は古物商の許可が関わります。確かめ方は遺品の買取を頼むときの記事にまとめました。契約書に所有権の放棄の条項が入っている場合の読み方は契約書の記事にあります。
1この金額は税込みですか
見積書に総額表示の義務はありません2。書いていなければ、聞くしかありません。2社を比べるときは、必ず税込みにそろえてから並べてください。
2合計と、最終的に支払う金額は同じですか
「別途実費」「実費精算」「概算」という語がある行を探してください。その行があれば、合計は着地点ではありません。
3買取額は確定ですか、見込みですか
見込みなら、下がったときにいくら増えるのかの幅を聞きます。
4足りなかった場合、どの時点で連絡がありますか
作業が終わってから知らされるのと、途中で止めて相談されるのとでは、まったく違います。「金額が変わるときは、作業を止めて連絡してください」と伝えて、書面に残してもらってください。
広告の表示そのものが問題になった実例は「定額パック」の記事に、契約したあとに戻れる制度はクーリング・オフの記事にまとめています。
国税庁は、見積書・契約書・請求書等は総額表示義務の対象とはならないとしています。税別で書かれていること自体は、決まりに反するものではありません。ただし、支払う金額を知るためには税込みを確かめる必要がありますので、遠慮なくお尋ねください。2
不特定かつ多数の方にあらかじめ価格を表示する場合は、消費税額等を含めた価格を表示しなければならないと定められています。表示の適否についての判断は当サイトではいたしかねますので、気になる場合は消費者ホットライン188にご相談ください。1,4
確実な方法はありませんが、増えやすい箇所は決まっています。処分費の実費精算、買取額の変動、作業日数の延長、追加の消臭工程です。それぞれについて「増えるとしたらどこか、いくらの幅か」を先に聞き、金額が変わるときは作業を止めて連絡する取り決めを書面に残してください。3
会社の許可・料金・サービス内容は変わります。当サイトは取得日を添えて記録していますが、依頼の前にご自身でも最新の内容をご確認ください。