はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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入居者が亡くなったとき進められることと、
まだ進められないこと。

警察かご家族から連絡が来た。あるいは、ご自身で見つけてしまった。最初の数日は、進める仕事より「進めない」判断のほうが多くなります。できることと、できないことの線を、確認できた資料で引きます。

玄関ドアの鍵とドアガード

今日できる3つ

1見つけたのがご自身なら、その場を離れて110番

室内の物はそのままにしてください。刑事訴訟法229条は、変死者または変死の疑いのある死体があるときは検察官が検視をしなければならないと定めています1事件かどうかの判断は、あなたの仕事ではありません。現場の状態は、その判断の材料になります。この後の流れは部屋に入れない間に起きていることに書きました。

2書類を手元に集める

賃貸借契約書(連帯保証人の条項)、入居申込書(緊急連絡先)、加入している保険の証券。貸主向けの保険や入居者の家財保険が使えるかは早い段階で確かめる価値があります(孤独死保険の中身)。

3記録を始める

いつ・誰から・何の連絡があったか。担当の警察署と係の名前。この先の保険金請求・費用の請求・告知の判断まで、すべてこの記録が土台になります。後から作れないのは記録だけです。

清掃会社への相談は、今日からできます

室内に入れるようになる時期は事案によりますが、「入れるようになり次第動きたい」という段階の相談は先にできます。鍵が戻ってから探し始めると、そこからまた日数がかかります。

急ぐのは相談で、契約ではありません。見積は必ず項目別で取ってください(「一式」の見積書)。

今日しないこと4つ

  • 合鍵で室内に入らない。警察の対応が終わるまで、現場はそのままにします。終わった後も、室内の物はあなたのものではありません(次の節)
  • 残置物を運び出さない・処分しない。賃借人が亡くなると、賃借権と残置物の所有権は相続人に承継されます2貸主の側に処分の権限がありません。相続人の同意なく動かすと、後から根拠を示せなくなります
  • 契約を「終わったこと」にしない。死亡だけでは賃貸借契約は終了しません2。解約・家賃・敷金の精算は、相続人との話になります
  • 他の入居者・近隣への説明を急がない。次の募集での告知には国土交通省のガイドラインに判断の枠組みがあります3。決める前に広く話すと、後から整合を取るのが難しくなります。まず宅地建物取引業者に相談してください

「早く片付けたい」が、いちばん高くつきます

気持ちは分かります。空室期間は損失です。ただ、相続人の承諾を取らずに進めた片付けは、費用を誰にも請求できなくなる形で終わりがちです。

先に進める順番は次の募集までの時間表実務の順序に分けて書きました。

なぜ貸主の判断だけで進められないのか

法務省が残置物のモデル契約条項を作った際の背景説明が、この構造をそのまま言い表しています。賃借人の死亡後、賃借権と残置物の所有権はその相続人に承継されるため、相続人の有無や所在が分からない場合に賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になり、単身高齢者に貸すことを貸主がためらう問題が生じている、というものです2

つまり、部屋を動かす鍵は相続人が握っています。探す道筋は3つあります。

  1. 一 契約書類から辿る

    連帯保証人と緊急連絡先。ここが最短です。連帯保証人に請求する場合の決まりは連帯保証人になっている方へにまとめています。

  2. 二 戸籍の第三者請求

    未収賃料などの債権がある場合、戸籍法10条の2第1項は「自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合」に、権利義務の発生原因・内容と理由を明らかにして戸籍謄本等を請求できると定めています4認めるかどうかは市区町村の窓口の審査によります。弁護士・司法書士等に依頼すれば職務上の請求もできます4

  3. 三 相続人がいない・全員が放棄した

    相続財産清算人の選任を家庭裁判所に申し立てる道になります。ただし名古屋家庭裁判所の手引では予納金の目安が70万円程度とされており、費用対効果を先に検討すべき制度です相続人がいない部屋を、どうするか)。

次の契約から、入居中に備える方法があります

国土交通省・法務省の残置物の処理等に関するモデル契約条項を入居時に結んでおくと、死亡後の解除と残置物処理の道筋が契約で決まります。期日の全体像は次の募集までの時間表へ。

2025年10月からは居住サポート住宅の制度も始まっています(居住サポート住宅と残置物処理)。単身入居の多い物件では、次の契約から検討する価値があります。

第一発見者の統計と、貸主の位置

賃貸住宅で、いわゆる孤独死保険の支払いがあった事例の業界集計(2015年4月〜2025年3月、n=10,203)では、最初に気づいた人の23.6%が「管理」——不動産管理会社・仲介会社・オーナー・大家等——で、区分の中で最多でした5。ご親族(20.8%)より多いのです。

第一発見者割合3日以内に見つけた割合
管理(管理会社・仲介・大家等)23.6%22.0%
親族20.8%42.5%
福祉(行政・見守り・宅配等)20.4%51.5%
近隣など15.9%21.1%
友人・知人12.8%53.7%
警察6.4%28.5%

そして、管理の側が見つけるケースは発見までの時間が区分の中でいちばん長くかかっています。3日以内に見つかった割合は22.0%にとどまり、30日以上たってからが31.7%(30〜89日25.6%+90日以上6.1%)を占めます5。レポートは、福祉・配達員の発見が早い(3日以内51.5%)理由を「定期的に訪問することが多いことから」と説明しています5。管理の側が遅い理由の説明はレポートにありませんが、日常の接点の有無が数字を分けていることは、表から読み取れます。

発見が遅れるほど、原状回復の範囲は広がり、告知の判断は重くなります。この数字の全体は最初に気づくのは、誰なのかに、入居中の備えは上の節にまとめました。

この後の分岐

よくあるご質問

家賃はいつまで発生しますか

死亡だけでは賃貸借契約は終了しません。賃借権が相続人に承継されるためです。その後の賃料や解約・敷金の精算をどう扱うかは、相続の状況(放棄の有無)と契約の内容によります。一律の答えを当サイトは書けません。個別の判断は弁護士にご確認ください。2

相続人が誰か分かりません

まず契約書・入居申込書の連帯保証人と緊急連絡先から辿ります。未収賃料などの債権がある場合、戸籍法10条の2第1項にもとづき、権利義務の内容と理由を明らかにして戸籍謄本等を第三者請求できる制度があります(認めるかどうかは窓口の審査によります)。弁護士・司法書士等に依頼すれば職務上の請求もできます。全員が相続放棄した場合は相続財産清算人の話になります。4

原状回復の費用は誰に請求できますか

実務上検討されるのは相続人・連帯保証人・保険の3つです。整理は「賃貸で入居者が亡くなったら」と「費用は誰が払うのか」に書きました。連帯保証人については、2020年4月1日以後の契約では極度額の定めが必要です。

複数の物件を管理しています。まとめて相談できますか

できます。お問い合わせフォームの「事業者の方」からお送りください。物件数と所在地の市区をお知らせいただければ、対応エリアと受入余力のある会社をお伝えします。

出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第229条(検視)」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131(2026-08-12取得)
  2. 法務省民事局「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について〜円滑に賃貸住宅の残置物を処理する方法をお示しします〜(令和3年6月7日)」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00262.html(2026-08-05取得)
  3. 国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(令和3年10月)」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_tk3_000001_00061.html(2026-08-04取得)
  4. e-Gov法令検索(デジタル庁)「戸籍法(昭和22年法律第224号)第10条の2(第三者請求)」https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224(2026-08-14取得)
  5. 一般社団法人日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会「第10回 孤独死現状レポート(2025年12月発行)」https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_10th.pdf(2026-08-04取得)

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