別居していた親の未支給年金を請求できますか
国民年金法19条は「死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」を要件にしています。同居が必須とは書かれていませんが、生計を同じくしていたと言えるかどうかの判断は年金事務所が行います。仕送りの記録などが手がかりになる場合があります。1
コラム/亡くなった後の実務
年金は後払いです。ですから、年金を受けていた方が亡くなると、まだ支払われていない分がほぼ必ず残ります。
これは相続で受け継ぐのではなく、「自己の名で」請求するという建付けになっています。条文の書き方が独特なので、そこを見ておきます。

年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹又はこれらの者以外の三親等内の親族であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
国民年金法 第19条第1項1
読みどころが3つあります。
1「自己の名で」請求する
亡くなった方の権利を引き継ぐのではなく、請求する人自身の権利として条文が組み立てられています。相続とは建付けが違います。
2「生計を同じくしていた」ことが要る
親族であれば誰でも、ではありません。亡くなった当時、生計を同じくしていたことが要件です。同居していなくても仕送りなどで認められる場合がありますが、判断は年金事務所です。
3三親等内の親族まで広い
配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹に加えて、これら以外の三親等内の親族も入ります。おい・めい、おじ・おばなども範囲に入ります。
さらに、亡くなった方が生前に年金を請求していなかった場合についても定めがあります。
死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
同条第3項1
「自己の名で」請求するという条文の建付けから、相続財産とは別に扱われると読むことができます。
ただし、当サイトでは断定しません
「相続放棄をしても未支給年金は受け取れる」という説明を見かけますが、当サイトの調査では、この点を明示した公的機関の記載を確認できませんでした。
条文が「自己の名で」と書いていることは事実です。しかし、ご自身のケースで放棄に影響するかどうかは、当サイトでは判断できません。
相続放棄を検討している方は、請求する前に年金事務所と、弁護士または司法書士の両方にご確認ください。順番を間違えると取り返しがつかない領域です(相続放棄と、部屋の片付け)。
請求先は年金事務所または年金相談センターです。日本年金機構が、年金を受けている方が亡くなったときの手続きを案内しています2。
必要書類は書きません
亡くなった方との関係や、生計を同じくしていたことをどう示すかによって、求められる書類が変わります。当サイトでは確認していないため、列挙しません。
年金事務所に電話して「未支給年金の請求をしたい」と伝えれば、ケースに応じて教えてもらえます。年金手帳や基礎年金番号が分かるものを手元に置いてからかけると早く済みます。
お部屋を片付けるときに、年金関係の書類は必ず取り分けてください。捨ててしまうと再取得に手間がかかります。
あわせて、年金を受けている方が亡くなったときには受給権者死亡届の提出が必要です2。止める手続きと、受け取る手続きは別なので、どちらも案内してもらってください。
国民年金法19条は「死亡の当時その者と生計を同じくしていたもの」を要件にしています。同居が必須とは書かれていませんが、生計を同じくしていたと言えるかどうかの判断は年金事務所が行います。仕送りの記録などが手がかりになる場合があります。1
同順位者が2人以上いるときは、1人のした請求が全員のためその全額についてしたものとみなされ、1人に対する支給が全員に対する支給とみなされます。受け取った後の分け方は当事者間の話になるので、先に話し合っておいてください。1
条文は「自己の名で」請求すると書いており、相続とは建付けが違います。ただし、ご自身のケースで放棄に影響するかどうかを当サイトでは判断できません。請求する前に、年金事務所と弁護士または司法書士の両方にご確認ください。
国民年金法19条3項は、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかったときも、同条1項に規定する者が自己の名で請求できると定めています。年金事務所にご相談ください。1
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