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コラム/会社の選び方
見積の「消臭」が読めないとき「消臭一式」の中身は、
方式で見分けられます。
見積書や説明には「オゾン脱臭」「消臭剤散布」「コーティング」といった言葉が並びます。同じ「消臭」でも、仕組みはまったく別のものです。
環境省の手引きが、脱臭の方式を原理ごとに整理しています。その分類を借りると、どの言葉が何をする作業なのかを、ご自身で見分けられるようになります。
この手引きは何か──先に限界から
もとになるのは、環境省の「防脱臭技術の適用に関する手引き」です1。工場やごみ処理施設などの排気から出る悪臭への対策をまとめた資料で、お部屋の特殊清掃を直接定めたものではありません。
それでもこの手引きを引くのは、方式ごとの原理・向いている臭気・限界が、一覧の形で整理されているからです。仕組みそのものは、設備の排気でも居室でも変わりません。ここでは分類の考え方だけを借りて、見積書の言葉に引き直します。
方式は、大きく5つの系統です
手引きの一覧(表4-1)に載っている方式を、はたらきで束ねると5つになります1。
- 酸化分解するオゾン脱臭法・プラズマ脱臭法・燃焼法。臭気の成分そのものを酸化して分解します。オゾンは「腐敗臭に対して高い脱臭効果が安定して得られる」とされています。
- 吸着する活性炭など。臭気成分を吸い取って固定します。低濃度向きで、他の方式の仕上げ処理としても使われます。吸着剤は定期的な交換が必要です。
- 洗う水洗法・薬液洗浄法。水や薬液に臭気成分を溶かし込み、中和・酸化します。水に溶けやすい臭気に向いています。
- 微生物で分解する生物脱臭法。微生物のはたらきで臭気成分を分解します。下水処理場などで使われ、腐敗臭の処理に適した型もあります。
- 感覚を和らげる消・脱臭剤法(噴霧)と希釈・拡散法(薄める・換気)。成分を分解するのではなく、感じ方を抑える系統です。
見分けの軸は一つです。においの成分を「無くす」方式か、「感じにくくする」方式か。ここが、次の話につながります。
見積書の言葉に、引き直す
「オゾン脱臭」。酸化分解の系統です。腐敗臭への効果が安定して得られるとされる方式で1、特殊清掃では機材を部屋に置いて稼働させます。一般に1日あたりで課金されるので2,3、何日稼働させる見込みかを確かめてください。作業のあいだ部屋に入れない理由は別の記事にまとめています。
「消臭剤散布」「消臭施工一式」。散布だけなら、感覚を和らげる系統です。手引きは消・脱臭剤の散布処理について「効果は一時的である」と明記しています1。散布が悪いのではなく、それ「だけ」で終わる見積なのかどうかが分かれ目です。「一式」と書かれていたら、何を分解・除去する作業が含まれているのかをお尋ねください。
「コーティング」「光触媒」。この手引きの一覧には載っていません。居室での効果を整理した公的資料も、当サイトの調査では確認できていません(2026年8月時点)。効果が無いという意味ではありませんが、頼む場合は「どの系統の方式にあたるのか」「効果をどう確認するのか」を聞いてください。
「換気」「送風」。希釈・拡散の系統です。部屋の外へ薄めて出す考え方なので、発生源が残っていれば、止めればまた溜まります。作業の補助であって、それ自体が「消臭」ではありません。
どの方式も、発生源が残れば戻ります
ここまでの話には、ひとつ前提があります。体液が床材の継ぎ目や下地まで届いている場合、発生源はそこに残ります4。空気中の臭気をどの方式で処理しても、発生源が残っていれば、時間が経つとまた出てきます。
だから順番は、方式の選択より先に、どこまで染みているかの特定と、床材の撤去などの発生源の処理です。方式の話は「そのあとの空気」の話だと考えてください。見積で最初に見るべきなのも、脱臭の項目より、解体・撤去の範囲が書かれているかどうかです。
「除去率◯%」と「保証」の読み方
手引きは、脱臭の効率の表し方を2通りに分けています。成分の除去率で表す方法と、嗅覚測定法(人の鼻を使った測定)で表す方法です1。数字が出てきたら、どちらの意味かを確かめてください。においの数字と資格の話は臭気判定士の記事にまとめています。
もうひとつ、手引きには実務的な一文があります。効果に不確定な要素があるときは、出口の臭気の保証値を提示させるのもひとつの方法だという記載です1。特殊清掃に引き直すなら、「においが戻ったときの取り決めを書面にする」ことがこれにあたります。
契約前に聞く3つ①どの方式で、床や下地の発生源はどう処理しますか。②効果は、誰が、どうやって確認しますか。③においが戻ったときの取り決め(期間・判定方法・再施工の範囲・費用の負担)は書面になりますか。
3つとも、その場で答えられる会社を選んでください。答えの中身より、答え方に作業の作り方が出ます。
この記事の要点
- 国の手引きは脱臭方式を原理ごとに整理しています。大きく「酸化分解する」「吸着する」「洗う」「微生物で分解する」「感覚を和らげる」の5系統です。
- オゾン脱臭は酸化分解の系統で、腐敗臭に対して高い脱臭効果が安定して得られるとされています。
- 消臭剤の散布は「効果は一時的」と手引きに明記されています。「消臭一式」の見積は中身を確認してください。
- どの方式でも、床材の下に発生源が残っていればにおいは戻り得ます。方式より先に、染みの範囲の特定と発生源の処理です。
- 効果の確認は「成分の除去率」と「嗅覚測定」の2通り。戻ったときの取り決め(期間・判定・再施工・費用)を書面にしてもらってください。
よくあるご質問
オゾンとプラズマは、何が違うのですか
手引きでは、プラズマ脱臭法は放電によって活性分子やオゾンを発生させ、その酸化力で臭気を分解する方式とされています。酸化分解という点ではオゾン脱臭と同じ系統で、オゾンの発生のさせ方と装置の作りが違います。1
消臭剤で一度消えたのに、また臭ってきました
手引きは、消・脱臭剤の散布処理の効果は一時的だとしています。加えて、発生源が床材の下に残っている場合は、どの方式でも時間が経つと戻ることがあります。もう一度散布を繰り返す前に、どこまで染みているかの特定を頼んでください。1,4
光触媒コーティングは効きますか
この手引きの一覧には載っておらず、居室での効果を整理した公的資料を当サイトは確認できていません(2026年8月時点)。効かないという意味ではありません。頼む場合は、どの系統の方式にあたるのか、効果をどうやって確認するのかをお尋ねください。1
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出典
- 環境省環境管理局大気生活環境室「防脱臭技術の適用に関する手引き(平成15年3月)脱臭技術一覧・脱臭効率一覧」https://www.env.go.jp/content/900397525.pdf(2026-08-11取得)
- マインドカンパニー「特殊清掃 作業別料金表」https://www.mind-company.jp/body/price(2026-08-04取得)
- エバーグリーン「特殊清掃 料金表」https://evergreen-is.com/price/(2026-08-04取得)
- 日本医科大学医学会「金涌佳雅「孤立(孤独)死とその実態」日本医科大学医学会雑誌 2018年14巻3号 100-112頁」https://www.nms.ac.jp/sh/jmanms/pdf/014030100.pdf(2026-08-04取得)
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