はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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コラム/貸主・管理会社の方へ

貸主・管理会社の方へ死亡日から数える期日は、
条文に5つあります。

入居者が亡くなったとき、貸主の側で困るのは「いつ動いていいのか」が分からないことです。勝手に片付けるとまずいのは分かっている。では、いつまで待てばいいのか。

国土交通省と法務省が公表しているモデル契約条項には、死亡日から数える期日が定められています。条文の原文から、時間表に組み直しました。

前提:この時間表が使えるのは、契約がある物件だけです

最初に線を引きます。以下の期日は、入居時に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」にもとづく契約を結んである場合の話です1。結んでいない物件では使えません。

この契約は3つのまとまりからなり、当事者が違います。

  • 解除関係事務委任契約——賃借人と受任者のあいだ。死亡を停止条件に、賃貸借契約を解除する代理権を渡すもの
  • 残置物関係事務委託契約——賃借人と受任者のあいだ。残置物の搬出・保管・廃棄・換価を委託するもの
  • 賃貸借契約の特約——ここだけが賃貸人と賃借人のあいだ1

つまり、上の2つで貸主は当事者ではありません。貸主が当事者になるのは3つめの特約だけです。この点は、オーナー向けの解説でもよく取り違えられています。

貸主が受任者になることは避けるべき、とされています

条文の解説コメントは、次のように書いています。

解除関係事務委任契約については,賃貸人を受任者とすることは避けるべきである(賃貸人を受任者とする解除関係事務委任契約は,賃借人の利益を一方的に害するおそれがあり,民法第90条や消費者契約法第10条に違反して無効となる可能性がある。)。

国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」解説コメント1

管理業者が受任者になることは「直ちに無効であるとはいえない」とされますが、その場合も賃貸人の利益を優先せず、賃借人(の相続人)の利益のために誠実に対応する必要があると書かれています1

死亡日から数える、5つの期日

条文から確定的に引ける期日です。

起算点期日誰が何をするか
死亡を知った時速やかに賃貸人が、解除関係事務の受任者へ書面または電磁的記録で通知1
死亡を知った時直ちに受任者が、委任者死亡時通知先へ通知1
死亡時保管に適しない残置物(生鮮食品等)は廃棄できる1
搬出しようとするとき2週間前まで受任者が、委任者死亡時通知先へ搬出の旨を通知1
死亡日3か月3か月経過し、かつ賃貸借契約が終了したときに、指定外の残置物を廃棄できる1
受任者が死亡を知った時6か月解除関係事務委任契約が終了し、代理権が消滅する1

見落とされやすいのは、下の2つです。

3か月は「かつ」条件です。条文は「委任者の死亡から【3か月】が経過し、かつ、本賃貸借契約が終了したとき」としています1。起算点は死亡時なので、3か月が過ぎていれば、賃貸借契約の終了と同時に廃棄へ進めます。解説コメントは「3か月を下回る期間を定めることは避けるべきである」とも書いています1

6か月には期限の意味があります。解除関係事務委任契約は、受任者が死亡を知った時から6か月の経過で終了します。解説コメントは「6か月経過するまでに解除の意思表示が相手方に到達することが必要である」としています1ここを過ぎると代理権が消え、相続人を探す話に戻ります。貸主の側で管理すべき期日は、実質これです。

3か月を待たずに、次の募集へ進める条文があります

ここが実務上いちばん効く部分です。「3か月は部屋が空かない」と理解されていることが多いのですが、条文はそう書いていません。

受任者は,第2条各号に掲げる事務の処理に当たって,本物件内又はその敷地内の動産を本物件又はその敷地から搬出し,本物件又はその敷地以外の場所に保管することができる。

モデル契約条項 第2の第9条第3項1

解説コメントは、その趣旨をこう説明しています。賃貸物件内に残置物を置いたままだと賃貸人は他の人に貸せないため、適切な保管場所があるなら、搬出して別の場所に保管することが望ましい1

つまり、搬出して外部で保管すれば、3か月の経過を待たずに原状回復と次の募集に進めます。3か月は「廃棄してよい時期」であって、「部屋を空けられない期間」ではありません。

搬出のときは、第三者の立会いと記録が要ります

条文は、搬出にあたって次を求めています。

第三者(賃貸人,本物件に係る管理会社又は本物件に係る仲介業者等を含む。)の立会いの下,非指定残置物の状況を確認・記録しなければならない。

モデル契約条項 第2の第6条第3項1

記録の方法について解説コメントは「例えば,写真撮影等によることが考えられる」としています1立会人として賃貸人・管理会社・仲介業者が条文に明示されています。つまり貸主・管理会社は、立会いを求められる当事者です。

なお、いったん搬出して保管したものを3か月経過後に廃棄する際は、改めての通知や第三者の立会いは不要とされています1

貸主の側に生じる3つの作為義務

この契約は「入居者側の話」と受け取られがちですが、貸主にも動く義務が生じます。

  1. 一 受任者への通知

    賃借人が死亡したことを知ったときは、速やかに解除関係事務の受任者へ書面または電磁的記録で通知します1

  2. 二 契約終了の通知

    賃貸借契約が終了したときは、速やかに残置物関係事務の受任者へ通知します1。3か月の「かつ」条件がここで満たされます。

  3. 三 立入りへの協力

    受任者が物件内に立ち入るために必要があるときは、協力を求められます1。実務上はマスターキーによる開錠です。

いずれも「速やかに」です。通知が遅れると、その分だけ受任者側の期日が後ろにずれ、結果として次の募集も遅れます。

契約が無い物件で亡くなった場合

ここまでは契約がある前提でした。無い場合は、別の話になります。

法務省は、モデル契約条項を策定した背景を次のように説明しています。

賃借人の死亡後,賃借権と居室内に残された家財(以下「残置物」という。)の所有権は,その相続人に承継(相続)されるため,相続人の有無や所在が分からない場合,賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難になることがあり,特に単身高齢者に対して賃貸人が建物を貸すことを躊躇する問題が生じています。

法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について」2

つまり、契約が無ければ賃借権も残置物も相続人のものです。相続人が見つかるか、相続財産清算人が選任されるまで、貸主の側で処分を進める根拠がありません。

相続財産清算人を申し立てる場合、名古屋家庭裁判所は清算費用や清算人報酬等の見込額として「70万円程度」を申立人に予納していただくとしています(事案により70万円を超える場合もある、との注記つき)3。相続財産が形成されない場合は全額または一部が返還されないことがある、とも書かれています。費用対効果を先に検討してください。

費用負担の全体像は費用は誰が払うことになるのかに、実務の順序は賃貸で入居者が亡くなったらにまとめています。

よくあるご質問

モデル契約条項は、いま入居している方にも使えますか

入居時に結ぶことを想定した契約ですが、既存の入居者と新たに結ぶことも考えられます。その場合は賃貸借契約の側にも特約が必要になります。国土交通省がQ&Aを公表していますので、実際に導入される際はそちらと、宅地建物取引業者にご確認ください。1

管理会社を受任者にしておけば安心ですか

管理業者が受任者になることは直ちに無効とはいえないとされていますが、賃貸人の利益を優先せず、賃借人(の相続人)の利益のために誠実に対応する必要があるとされています。また、条文の想定では、まず賃借人の推定相続人、次いで居住支援法人や居住支援を行う社会福祉法人のような第三者が望ましいとされています。1

残置物を先に搬出して保管する場合、費用は誰が持ちますか

当サイトでは判断できません。条文は保管や搬出の権限を定めていますが、費用の最終的な帰属は契約の設計によります。導入の際に、費用の立替えと精算の方法まで含めて宅地建物取引業者・弁護士にご確認ください。

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出典

  1. 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(本文・解説コメント)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001726434.pdf(2026-08-05取得)
  2. 法務省民事局「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について〜円滑に賃貸住宅の残置物を処理する方法をお示しします〜(令和3年6月7日)」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00262.html(2026-08-05取得)
  3. 名古屋家庭裁判所「相続財産清算人選任申立ての手引【相続財産 R050401版】」https://www.courts.go.jp/nagoya-f/vc-files/nagoya-f/04kajibu/05/souzoku/souzokuzaisanseisanninsenninmousitatenot....pdf(2026-08-05取得)

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