はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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コラム/貸主・管理会社の方へ

貸主・管理会社の方へ法律は、この仕事を
誰のものとも決めていません。

入居者が亡くなった。管理会社に連絡したら「そこまでは管理業務に含まれません」と言われた。あるいは管理会社の側で、どこまで引き受けるべきなのかを決めかねている。そういう場面のためのページです。

結論から書きます。賃貸住宅管理業法は、入居者が亡くなった後の対応について何も定めていません。やらなくていい、という意味ではありません。法律ではなく、管理受託契約が決めることになっているという意味です。

法律が「管理業務」と呼んでいるのは、2つだけです

2021年に全面施行された賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)は、管理業務を次のように定義しています。長い条文ですが、ここが出発点になります。

この法律において「賃貸住宅管理業」とは、賃貸住宅の賃貸人から委託を受けて、次に掲げる業務(以下「管理業務」という。)を行う事業をいう。

一 当該委託に係る賃貸住宅の維持保全(住宅の居室及びその他の部分について、点検、清掃その他の維持を行い、及び必要な修繕を行うことをいう。以下同じ。)を行う業務(賃貸住宅の賃貸人のために当該維持保全に係る契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理を行う業務を含む。)

二 当該賃貸住宅に係る家賃、敷金、共益費その他の金銭の管理を行う業務(前号に掲げる業務と併せて行うものに限る。)

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 第2条第2項1

維持保全と、金銭の管理。この2つです。入居者の死亡、残置物、原状回復、特殊清掃の手配、親族への連絡──どれも、この定義の中にありません。

「維持保全」の範囲も、国は狭く説明しています

では、日常の清掃を含む「維持保全」を広めに読めば、特殊清掃も入るのではないか。国土交通省の解釈・運用の考え方は、そう読ませない書き方をしています。

「賃貸住宅の維持保全」とは、居室及び居室の使用と密接な関係にある住宅のその他の部分である、玄関・通路・階段等の共用部分、居室内外の電気設備・水道設備、エレベーター等の設備等について、点検・清掃等の維持を行い、これら点検等の結果を踏まえた必要な修繕を一貫して行うことをいう。

国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」第2条第2項関係2

同じ資料は、該当しない例も挙げています。維持と修繕の「いずれか一方のみ」を行う場合、賃貸住宅の「部分のみ」について一貫して行う場合、そして入居者からの苦情対応のみを行い維持及び修繕を行っていない場合は、維持保全に該当しないとされています2

ここで想定されているのは、建物と設備を定常的に良い状態に保つ仕事です。一度きりの、原因が入居者の死亡である特別な作業は、この枠組みの外側にあります。

82ページと54ページを、機械的に数えました

解釈の話にしないために、国が出している文書そのものを数えました。方法は単純です。PDFからテキストを抽出し、空白を除いて正規化したうえで、語を機械検索しています(2026年8月11日実施)。

検索した語制度概要ハンドブック
(82ページ)
解釈・運用の考え方
(54ページ)
残置物00
遺品00
特殊清掃00
孤独死00
死亡10
(参考)維持保全6335

対象は国土交通省の「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」3と「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」2です。

ハンドブックに1件だけある「死亡」は、入居者のことではありません。法第7条(変更の届出)の条文引用で、「賃貸住宅管理業者である個人が死亡したときその相続人」が30日以内に届け出る、という部分です3。管理業者本人が亡くなった場合の話でした。

この0件を、どう読むか

制度が不備だと言いたいのではありません。この法律は、サブリースをめぐる勧誘トラブルと、管理業者の登録・業務の適正化を目的に作られたものです。入居者の死亡後の実務は、もともと守備範囲に入っていません。

ただ、その結果として「管理会社なのだから当然やるはず」という前提を支える法的な根拠は無いことになります。貸主の側も管理会社の側も、この点は同じ地面に立っています。

では、何が決めているのか

管理受託契約です。法律が定めていない以上、その契約に書いてあることが、そのまま分界線になります。

賃貸住宅管理業法は、契約の内容そのものは決めていません。ただし契約を締結するまでに書面を交付して説明する義務を課しています1。国土交通省のハンドブックは、その説明項目を12個列挙しており、そのうち3つがここに効きます3

  • 管理業務の内容
  • 管理業務の実施方法
  • 報酬に含まれていない管理業務に関する費用の内容

つまり、範囲も、報酬の外側にある費用も、契約前に説明されているはずのものです。まず、そのとき受け取った書面を探してください。

1管理受託契約書の「管理業務の内容」を開く

箇条書きで並んでいるはずです。そこに書かれていない作業は、委託されていません。逆に「その他、賃貸人が必要と認めた業務」のような包括条項があれば、都度の合意で足せる形になっています。

2報酬の条項を見る

通常の管理報酬に含まれる作業と、実費・別途精算になる作業が分かれているのが普通です。死亡対応が別途扱いなら、誰が発注者になるのか(貸主か、管理会社が代行するのか)を先に確かめてください。発注者が誰かで、請求書の宛先も、後で相続人に求償できるかどうかも変わります。

3書いていなければ、いま決める

起きてから決めると、どちらも損をした気分になります。次の空室が出るまでの間に、覚書1枚で足せます。決めておく項目は、①誰が業者を手配するか ②見積は誰の承認で通すか ③立会いは誰がするか ④費用を誰がいったん立て替えるか、の4つです。

先に手を打っておく方法が、1つだけ用意されています

これは亡くなった後ではなく、入居時に使うものです。国土交通省と法務省が、単身高齢者の入居を想定した「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しています4

入居者本人が、亡くなった場合の賃貸借契約の解除と残置物の処理を、あらかじめ第三者に委任しておく形です。保管に適しない残置物は死亡時に廃棄でき、指定されていない残置物は死亡日から3か月が経過し、かつ賃貸借契約が終了したときに廃棄できる、という組み立てになっています5

期日の全体は次の募集までの時間表にまとめました。

貸主自身が受任者になることは想定されていません

モデル契約条項は、受任者を賃貸人自身とすることを避け、賃借人の親族や居住支援法人等を想定しています5。利益が相反するためです。

2025年10月1日からは、都道府県の指定を受けた居住支援法人が、この委託を正式な業務として受けられるようになりました。仕組みは居住サポート住宅と残置物処理に書いています。

よくあるご質問

管理会社に「業務範囲外」と言われました。おかしいのでしょうか

賃貸住宅管理業法が定める管理業務は、賃貸住宅の維持保全と、それと併せて行う金銭の管理の2つです。入居者の死亡後の対応はこの定義に含まれていないため、管理受託契約に書かれていなければ、委託されていないことになります。断ること自体は法律に反しません。実際にどうするかは、契約書の記載と、これからの合意で決まります。1

管理会社です。引き受けた場合、法律上の責任は重くなりますか

賃貸住宅管理業法の管理業務として引き受けるのか、別の委任契約として引き受けるのかで、適用される規定が変わります。当サイトでは個別の判断ができません。範囲と報酬を書面にしたうえで、宅地建物取引業や賃貸住宅管理業に詳しい専門家にご確認ください。

緊急なので、貸主の判断で室内に入って片付けてよいですか

おすすめできません。賃借権も室内の動産も、原則として相続人に承継されます。相続人の同意なく処分すると、後から損害賠償を求められることがあります。いつ何ができるようになるのかは「次の募集までの時間表」に条文の期日で整理しています。6

費用は最終的に誰の負担になりますか

相続人、連帯保証人、保険のどれが動くかで変わります。相続放棄がされている場合や、保証契約の締結時期によっても結論が変わるため、「費用は誰が払うのか」に全体像をまとめています。

次に読むページ

出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)第2条」https://laws.e-gov.go.jp/law/502AC0000000060(2026-08-11取得)
  2. 国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方(令和5年3月31日施行)」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001474894.pdf(2026-08-11取得)
  3. 国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック(全82ページ)」https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001404844.pdf(2026-08-11取得)
  4. 法務省民事局「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について〜円滑に賃貸住宅の残置物を処理する方法をお示しします〜(令和3年6月7日)」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00262.html(2026-08-05取得)
  5. 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(本文・解説コメント)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001726434.pdf(2026-08-05取得)
  6. e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第885条・第896条・第904条の3・第909条の2・第921条・第939条・第940条・第621条・第653条・第654条・第656条・第465条の2・第465条の4・第7条・第11条・第15条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-13取得)

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