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コラム/相続と手続き
片付けの話が進まない方へ本人の同意が要る、
という線があります。
実家の片付けの話をしても進まない。物が増えていく。ご本人の判断が以前と違ってきている気がする。そういうときに名前が挙がるのが成年後見です。
ただ、この制度は片付けのためのものではありません。使えるかどうかの前に、何のための制度かを知っておいてください。
先に、誤解を1つ解いておきます
片付けを進めるための制度ではありません
「後見人をつければ、本人が反対していても家を片付けられる」と考えて相談される方がいらっしゃいます。
そういう制度ではありません。後見は、判断する力が十分でなくなった方の生活や財産をご本人のために守る仕組みです。ご家族が片付けを進めやすくするための道具ではありません。
物が積み上がっている場合の入口は、物が積み上がってしまったときに書いた自治体の窓口のほうです。名古屋市の条例は、規制より支援を先に置いています。
3つの類型があり、状態で分かれます
元気なうちに決めておく契約もあります
審判で始まる法定後見に対して、あらかじめ自分で決めておく形が任意後見契約です。定義の条文を引きます。
委任者が、受任者に対し、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な状況における自己の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務の全部又は一部を委託し、その委託に係る事務について代理権を付与する委任契約であって、第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された時からその効力を生ずる旨の定めのあるもの
任意後見契約に関する法律 第2条第1号2
読みどころは2つです。
1契約しても、すぐには効き始めません
効力が生じるのは家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時からです2。契約しただけでは、相手方に代理権はありません。元気なうちに結んでおいて、必要になったときに動かすという設計です。
2公正証書でなければなりません
条文が方式を決めています。「任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない」2。私的な書面では効力を持ちません。公証役場で作ることになります。
監督人の選任を請求できるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、または任意後見受任者です2。
当サイトが書けるのは、ここまでです
費用・期間・誰が後見人になるかは書きません
申立てにかかる費用、審判までの期間、必要書類、そして誰が後見人に選ばれるか(ご家族か、弁護士・司法書士などの専門職か)は、家庭裁判所の運用によります。当サイトはその根拠資料を確認していないため、書きません。
数字を出しているページを見かけますが、ご自身のケースに当てはまる保証はありません。家庭裁判所または弁護士・司法書士にご確認ください。
制度を使うかどうかの判断も、当サイトではできません。財産の額、ご家族の関係、ご本人の意思の状態で結論が変わります。
いま、できること
後見の手続きを始めるかどうかとは別に、今日からできることがあります。
1地域包括支援センターに相談する
高齢のご家族のことで最初に相談する窓口です。名古屋市ではいきいき支援センターという名称です3。後見の入口としても、生活の支援としても、ここから始められます。
2書類の場所だけ、聞いておく
通帳、保険証券、権利証、固定資産税の納税通知書。「どこにあるか」を聞いておくだけで、後がまったく違います。不動産の洗い出し方は名寄帳で不動産を洗い出すに書きました。
3きょうだいで先に話しておく
国土交通省の調査では、相続の前に何か対策をした世帯は約23%で、そのうち最も多いのは「話し合った」でした4。話をしておくだけで上位23%に入ります。
4書面にするなら
遺言書は法務局が預かる制度があり、手数料は1通3,900円です(遺言書を法務局が預かる制度)。任意後見契約は公正証書が必要です2。
よくあるご質問
親が片付けに同意しません。後見人をつければ進められますか
そういう制度ではありません。後見は、判断する力が十分でなくなった方の生活や財産をご本人のために守る仕組みで、家族が片付けを進めるための手段ではありません。物が積み上がっている場合は、自治体の福祉の窓口が入口になります。
3つの類型はどう違いますか
民法は、事理を弁識する能力を「欠く常況」なら後見、「著しく不十分」なら保佐、「不十分」なら補助と分けています。いずれも家庭裁判所の審判によります。ただし補助については、本人以外の者の請求による場合、本人の同意がなければ審判をすることができません。1
任意後見契約は自分たちで書面を作れますか
できません。任意後見契約に関する法律3条は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならないと定めています。公証役場で作ることになります。2
任意後見契約を結べば、すぐに手続きを代わってもらえますか
いいえ。契約の効力は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じる旨の定めがあるものとされています。元気なうちに結んでおいて、必要になったときに監督人の選任を請求する、という設計です。2
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出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第885条・第896条・第904条の3・第909条の2・第921条・第939条・第940条・第621条・第653条・第654条・第656条・第465条の2・第465条の4・第7条・第11条・第15条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-13取得)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「任意後見契約に関する法律(平成11年法律第150号)第2条・第3条・第4条」https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000150(2026-08-13取得)
- 名古屋市健康福祉局「いきいき支援センター(地域包括支援センター)」https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/koureisha/1016496/1016502.html(2026-08-09取得)
- 国土交通省住宅局「令和6年空き家所有者実態調査結果(令和7年8月)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/R6_akiya_syoyuusya_jittaityousa.html(2026-08-09取得)
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