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コラム/相続と手続き

相続の手続きを始める前にまず、どこに何があるかを
確かめます。

相続登記にも、実家を売るときの特例にも、期限があります。ただ、その前に詰まるのが「そもそも、どこに何を持っていたのか分からない」という段階です。

手がかりになる書類が2つあります。そしてそのどちらも、お部屋を片付けるときに捨ててしまいやすいものです。

片付けのときに、捨てないでください

先に、いちばん実用的なことを書きます。お部屋を片付けるときに、次の書類は必ず取り分けてください。

1固定資産税の納税通知書

毎年春に市町村から届きます。その市町村内に、どの不動産を持っているかが分かります。いちばん手軽な手がかりです。ただし、非課税の土地や共有の持分などは載らないことがあります。

2権利証(登記識別情報)と売買契約書

売買契約書は、売るときの税金の計算に効きます。買ったときの金額が分からないと、譲渡所得の計算で不利になることがあります(実家を売るなら、2つの期限)。捨ててしまうと戻りません。

3保険証券・年金関係・通帳

別の手続きで使います。未支給年金葬祭費と埋葬料の請求にも関わります。

作業に入る前に伝えてください

清掃や遺品整理を頼む場合、探してほしい書類を先に伝えておけば、工程に組み込んでもらえます。作業が始まってからでは間に合わないことがあります。

見積の段階で「通帳・保険証券・権利証・売買契約書・固定資産税の通知書を探してください」と具体的に伝えるのが確実です。

名寄帳という書類があります

納税通知書が見つからない場合、あるいはこれで全部なのか確かめたい場合に使えるものがあります。

市町村は、その市町村内の土地及び家屋について、固定資産課税台帳に基づいて、総務省令で定めるところによつて、土地名寄帳及び家屋名寄帳を備えなければならない

地方税法 第387条第1項1

名寄帳は、その市町村内にある不動産を、所有者ごとにまとめた帳簿です。「名前で寄せた帳簿」という言葉のとおりです。

閲覧の根拠も条文にあります。

市町村長は、納税義務者その他の政令で定める者の求めに応じ、固定資産課税台帳のうちこれらの者に係る固定資産…に関する事項…が記載をされている部分又はその写しをこれらの者の閲覧に供しなければならない

同法 第382条の2第1項1

そして387条3項は、納税義務者から382条の2第1項の求めがあったときに、台帳に代えて名寄帳またはその写しを閲覧に供することができるとしています1

相続人が請求できるかどうかは、窓口で確かめてください

条文は「納税義務者その他の政令で定める者」と書いています1当サイトはこの政令の原文を確認していないため、「相続人なら必ず請求できる」とは書きません。

実務では相続人からの請求に応じている市町村が多いようですが、必要書類(戸籍など)や手数料は市町村ごとに違います。お住まいの、あるいは不動産のある市町村の資産税の窓口に、電話で先に確かめてください。

名寄帳でも分からないことがあります

万能ではありません。ここを知らないと、探し漏れます。

  • 市町村をまたぐと分かりません。名寄帳は「その市町村内の土地及び家屋」についてのものです1。別の市に不動産があれば、その市でも取る必要があります
  • 心当たりのある市町村を、先に洗い出す必要があります。生まれ育った土地、以前住んでいた土地、配偶者の実家。納税通知書が複数の市町村から届いていないかを確かめてください
  • 登記の名義とは別の帳簿です。名寄帳は固定資産税のためのもので、登記簿ではありません。実際に名義を移すには、法務局での相続登記が要ります(相続登記の義務化

他県にも心当たりがある場合は、当サイトの岐阜市四日市市のページも、それぞれの市の窓口の入口として使えます。

洗い出したあと

不動産の所在が分かったら、期限のある手続きが待っています。順番はこうなります。

  1. 一 相続登記

    2024年4月1日より前に相続を知っていた場合の期限は2027年3月31日です。まとまらない場合は相続人申告登記で期限を止められます(相続登記の義務化)。

  2. 二 どうするかを決める

    売る・貸す・解体する・手放す。売るなら3,000万円の特別控除に期限があります。解体するなら届出の義務は頼んだ側です。売れない土地は国庫帰属という道もあります。

  3. 三 放置した場合

    空家等対策特別措置法の「管理不全空家等」に当たり勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例から外れることがあります2,3

よくあるご質問

名寄帳はどこでもらえますか

不動産がある市町村の、資産税を扱う窓口です。地方税法387条は、市町村が土地名寄帳と家屋名寄帳を備えなければならないと定めています。必要書類や手数料は市町村ごとに違うので、先に電話で確かめてください。1

相続人でも請求できますか

条文は「納税義務者その他の政令で定める者」と書いており、当サイトはこの政令の原文を確認していないため断定できません。実務では相続人からの請求に応じている市町村が多いようですが、必要書類とあわせて窓口にご確認ください。1

納税通知書があれば名寄帳は要りませんか

納税通知書でおおむね分かりますが、非課税の土地や共有の持分などが載らないことがあります。これで全部かどうかを確かめたい場合は名寄帳が確実です。ただしどちらも、その市町村内のものに限られます。1

片付けを頼んだ後に書類を探せますか

処分してしまうと戻りません。見積の段階で「通帳・保険証券・権利証・売買契約書・固定資産税の納税通知書を探してください」と具体的に伝えてください。作業の工程に組み込んでもらえます。

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出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「地方税法(昭和25年法律第226号)第382条の2(固定資産課税台帳の閲覧)・第387条(土地名寄帳及び家屋名寄帳)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226(2026-08-13取得)
  2. 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 新旧対照条文(令和5年12月13日施行)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621963.pdf(2026-08-09取得)
  3. 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf(2026-08-09取得)

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