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コラム/亡くなった後の実務
政令に、名前が書かれています名古屋市は、監察医が
置かれている地域です。
ご自宅で亡くなって、死因がその場で分からない場合。名古屋市では、他の多くの市町村とは違う仕組みが動くことがあります。
「監察医」という制度です。全国で5つの地域にだけ置かれていて、名古屋市はそのひとつです。政令に市の名前がそのまま書かれています。
政令に、市の名前が書かれています
まず条文です。死体解剖保存法8条1項は、こう定めています。
政令で定める地を管轄する都道府県知事は、その地域内における伝染病、中毒又は災害により死亡した疑のある死体その他死因の明らかでない死体について、その死因を明らかにするため監察医を置き、これに検案をさせ、又は検案によつても死因の判明しない場合には解剖させることができる。
死体解剖保存法 第8条第1項1
「政令で定める地」がどこなのか。その政令が、これです。
死体解剖保存法第八条第一項の規定に基き、次の地域を定める。
監察医を置くべき地域を定める政令2
東京都の区の存する区域、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市
これだけです。全国でこの5つの地域だけに、監察医を置く仕組みがあります。名古屋市にお住まいの方、あるいは名古屋市内のお部屋についてお困りの方は、この制度の中にいます。
愛知県警察の例規も、対象を「名古屋市内を死亡地(死亡原因の発生地が名古屋市内の場合を含む。)として監察医解剖を実施したもの」と定めています3。名古屋市を出れば、同じ愛知県内でもこの仕組みは動きません。
順番が決まっています
条文には、ただし書があります。ここが順番を決めています。
但し、変死体又は変死の疑がある死体については、刑事訴訟法第二百二十九条の規定による検視があつた後でなければ、検案又は解剖させることができない。
死体解剖保存法 第8条第1項ただし書1
つまり、警察(検察官)の検視が先です。検視という手続きそのものは別の記事にまとめました。そのうえで、死因がまだ明らかでない場合に、監察医の検案、さらに解剖という段があります。
- 一 検視
変死体・変死の疑いがある死体について、刑事訴訟法229条にもとづいて行われます。これが済むまでは、次に進めません1。
- 二 監察医の検案
知事の権限で置かれた監察医が、死因を明らかにするために検案します1。
- 三 解剖
検案によっても死因が判明しない場合に、解剖させることができるとされています1。刑事訴訟法にもとづく検証や鑑定のための解剖を妨げない、とも書かれています(同条2項)。
お部屋に入れるようになるのは、この一連が終わってからです。お待ちいただく時間が読めないのは、どの段まで進むかが最初には決まらないためです。
「承諾を求められなかった」のは、なぜか
解剖について、ご遺族から「同意を聞かれた覚えがない」というお話をうかがうことがあります。条文に理由が書かれています。
死体解剖保存法7条の本文は、解剖をしようとする者は遺族の承諾を受けなければならないと定めています1。ただし、同条は例外を列挙しており、その3号が第2条1項3号(=8条の規定により解剖する場合)に該当する場合を挙げています1。
説明を受ける手続きは、別に定められています
承諾が要件になっていないことと、説明がないことは別の話です。愛知県警察の例規は、次のように定めています。
警察署長は、遺族等に対し監察医解剖についての説明及び検査結果の説明を十分に行い、その理解を得るものとする
愛知県警察「監察医解剖に係る死体の検査要領」3
説明が足りないと感じられた場合、あるいは後になって聞きたいことが出てきた場合は、担当された警察署にお尋ねになって構いません。個別の内容について当サイトは答えられませんが、聞ける先は決まっています。
なお、解剖した者は、その死体について犯罪と関係のある異状があると認めたときは、24時間以内に解剖をした地の警察署長に届け出なければならない、とも定められています1。
ご遺族にとって、何が変わるのか
制度の説明だけでは分かりにくいので、実際に影響が出るところを挙げます。
- お部屋に入れる時期検視で終わる場合と、検案・解剖まで進む場合で、変わります。予定を先に固めないほうが安全です。
- 死体検案書が出るまでの時間死亡届には、医師が証明した死亡診断書または死体検案書が必要です。これが出るまで、届出とその先の手続きが動きません。
- 葬儀の日程火葬許可は死亡届の受理が前提です。日程は、検案書が出る見込みが立ってから決めるほうが動かしやすくなります。
- 清掃の着手警察の対応が終わるまで着手できません。見積だけ先に取っておく、という進め方はできます。
名古屋市以外の場合
この記事の要点
- 監察医を置くべき地域は政令で定められており、東京都の区の存する区域・大阪市・横浜市・名古屋市・神戸市の5つです。
- 知事は、死因の明らかでない死体について監察医を置き、検案させ、検案でも死因が判明しない場合は解剖させることができます(死体解剖保存法8条1項)。
- 変死体または変死の疑いがある死体は、刑事訴訟法229条の検視があった後でなければ検案・解剖ができません(同項ただし書)。
- 通常の解剖は遺族の承諾が必要ですが、この解剖はその例外として条文に列挙されています(同法7条3号)。
- 愛知県警察の例規は「名古屋市内を死亡地として監察医解剖を実施したもの」を対象と定めています。
- 同例規は、警察署長が遺族等に説明を十分に行い理解を得るものとしています。
- 解剖した者は、犯罪と関係のある異状を認めたときは24時間以内に警察署長へ届け出ます(同法11条)。
よくあるご質問
監察医による解剖は、費用がかかりますか
知事の権限で行われる仕組みです。費用の負担について当サイトでは確認できていませんので、担当された警察署または名古屋市にお尋ねください。確認できていないことを推測でお答えすることはいたしません。1
解剖を断ることはできますか
死体解剖保存法7条は解剖に遺族の承諾を求めていますが、8条による解剖はその例外として列挙されています。個別のケースについては、説明をされている担当の方にお尋ねください。1
解剖の結果は教えてもらえますか
愛知県警察の例規は、警察署長が遺族等に対して監察医解剖についての説明および検査結果の説明を十分に行い、その理解を得るものとしています。担当された警察署にお尋ねください。3
名古屋市の何区でも同じですか
政令は「名古屋市」を地域として定めており、区で分けていません。愛知県警察の例規も名古屋市内を死亡地とするものを対象としています。2,3
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出典
- e-Gov法令検索(昭和24年法律第204号)「死体解剖保存法(第7条 遺族の承諾/第8条 監察医/第11条 犯罪と関係のある異状の届出)」https://laws.e-gov.go.jp/law/324AC0000000204(2026-08-18取得)
- e-Gov法令検索(昭和24年政令第385号)「監察医を置くべき地域を定める政令(東京都の区の存する区域、大阪市、横浜市、名古屋市及び神戸市)」https://laws.e-gov.go.jp/law/324CO0000000385(2026-08-18取得)
- 愛知県警察(例規)「監察医解剖に係る死体の検査要領(名古屋市内を死亡地として監察医解剖を実施したものが対象。警察署長は遺族等に説明を十分に行い理解を得るものとする)」https://www.pref.aichi.jp/police_reiki/reiki_honbun/u393RG00000565.html(2026-08-18取得)
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