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コラム/相続と手続き

話がまとまらないまま、期限が近い3年に間に合いそうにないとき、
使える手続きがあります。

相続登記は3年以内が義務です。ただ、戸籍を集めて相続人の範囲と相続分を確定する作業は、思っているより時間がかかります。話し合いがまとまらないこともあります。

法務省は、期限内の申請が難しい場合に簡易に義務を履行できる仕組みを用意しています。何ができて、何が残るのかを整理します。

レースカーテン越しに庭の緑が見える和室の窓辺

なぜ、3年では足りないことがあるのか

相続登記の申請には、被相続人の出生から死亡までの戸除籍謄本などを集め、法定相続人の範囲と法定相続分を確定する必要があります1

これは、相続人が多いときや、遠方の役所から戸籍を取り寄せるときには時間がかかります。加えて、誰が引き継ぐかの話し合いがまとまらないことも珍しくありません。怠けているのではなく、手続きの性質として時間がかかるのです。

法務省もそれを前提にしていて、期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合に、簡易に申請義務を履行できる仕組みとして相続人申告登記を設けたと説明しています1

何が簡単なのか──5つの特徴

  • 単独で申し出られる特定の相続人が単独で申出可能で、他の相続人の分も含めた代理申出もできます1。全員の足並みを揃える必要がありません。
  • 押印・電子署名が不要申出手続(オンラインでも可)において、押印・電子署名は不要とされています1
  • 専用ソフトが不要専用のソフトウェアを使わず、Webブラウザ上で手続きができます1
  • 相続分の確定が不要法定相続人の範囲・法定相続分の割合の確定が不要で、提出書類も少なくて済みます1
  • 登録免許税がかからない費用の面でも入口が低くなっています1

「戸籍を全部集めて、相続人全員で話をまとめて、税金を払って」という本来の手順に対して、入口を大きく下げた手続きだと分かります。

できないことも、はっきりしています

便利な反面、限界も明示されています。

ひとつは、名義が移らないことです。法務省は、この登記が不動産についての権利関係を公示するものではないと説明しています1。つまり売却や担保設定のような、名義を前提にする手続きには使えません。

もうひとつは、遺産分割に基づく相続登記の申請義務までは履行できないことです1。話し合いがまとまったら、あらためて相続登記の申請が必要になります。

整理すると、この手続きは「期限を止める」ためのものであって、「終わらせる」ためのものではありません。宿題は残ります。

こういうときに向いています

1期限が近いのに、話し合いがまとまらない

全員の合意を待たずに単独で申し出られます1

2戸籍の収集が終わっていない

相続分の確定が不要なので、提出書類が少なくて済みます1

3費用をかけずに、まず義務だけ果たしたい

登録免許税がかかりません1

お部屋の片付けと同じで、順番を分けると進みます。期限のあるものを先に止めて、分け方の話は落ち着いてからで構いません。片付けの順番は遺品整理の進め方にまとめています。

この記事の要点

よくあるご質問

申し出れば、もう相続登記はしなくていいのですか

いいえ。遺産分割に基づく相続登記の申請義務までは履行できないと明記されています。分割がまとまったら、あらためて相続登記の申請が必要です。この手続きは期限を止めるためのものです。1

相続人が複数います。全員が申し出る必要がありますか

特定の相続人が単独で申し出ることができ、他の相続人の分も含めた代理申出も可能とされています。ただし申し出た人だけが義務を果たしたことになる点は、法務局の案内でご確認ください。1

必要な書類や手数料を教えてください

必要な戸籍の証明書を添付して申し出る仕組みで、登録免許税はかかりません。具体的な書類の範囲や窓口での取り扱いは、不動産を管轄する法務局にご確認ください。当サイトでは個別の要否を判断できません。1

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出典

  1. 法務省「相続人申告登記について(単独申出可・押印/電子署名不要・登録免許税不要)」https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html(2026-08-18取得)

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