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コラム/相続と手続き

何もしなかった場合手続きは、
止まりません。

実家をどうするか決められないまま、年が過ぎている。そのままにしておいたら、最終的にどうなるのか。

空家等対策特別措置法に、段階が書いてあります。そして「所有者が分からないので進まない」という状態にはなりません。そこも条文に定めがあります。

4つの段階が、条文で決まっています

空家等対策特別措置法22条は、市町村長がとれる措置を段階で並べています1

  1. 一 助言又は指導(1項)

    特定空家等の所有者等に対し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとるよう助言または指導をすることができます1

  2. 二 勧告(2項)

    助言・指導をしてもなお状態が改善されないと認めるとき、相当の猶予期限を付けて勧告することができます1ここで固定資産税の住宅用地特例から外れます2

  3. 三 命令(3項)

    勧告を受けた者が正当な理由がなくて措置をとらなかった場合、特に必要があると認めるときは、相当の猶予期限を付けて命ずることができます1

  4. 四 行政代執行(9項)

    命令を受けた者が履行しないとき、履行しても十分でないとき、または期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法の定めるところに従い、市町村長が自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができます1

「いきなり壊される」ことにはなりません

命令の前には手続きが用意されています。市町村長は、命じようとする措置とその事由、意見書の提出先と提出期限を書いた通知書を交付し、意見書と自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければなりません1

さらに、通知書の交付を受けた日から5日以内に請求すれば、公開による意見の聴取が行われます1。そこでは証人を出席させ、自己に有利な証拠を提出することもできます1

通知が届いたら、放置しないでください。期限が短いので、届いた時点で動く必要があります。

所有者が分からなくても、止まりません

「相続の話がまとまっていないから、誰も命令を受けない」という状態を想定した定めがあります。

過失がなくてその措置を命ぜられるべき者…を確知することができないとき…は、市町村長は、当該命令対象者の負担において、その措置を自ら行い、又は…措置実施者にその措置を行わせることができる。

空家等対策の推進に関する特別措置法 第22条第10項1

この場合、あらかじめ公告したうえで行われ、要した費用を徴収する旨も公告に含まれます1

つまり「連絡がつかなければ何も起きない」わけではなく、費用の負担者としては残るという建付けです。

災害その他非常の場合で、特定空家等が保安上著しく危険な状態にあるときの特則も置かれています1

市町村長が、相続財産清算人の選任を請求できます

あまり知られていない条文です。

市町村長は、空家等につき、その適切な管理のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所に対し、民法…第二十五条第一項の規定による命令又は同法第九百五十二条第一項の規定による相続財産の清算人の選任の請求をすることができる。

同法 第14条第1項1

相続人がいるかどうか分からない空き家について、市町村長のほうから家庭裁判所に清算人の選任を求められます。

これは貸主の方が申し立てる場合と同じ制度です。手続きの流れは相続人がいない部屋を、どうするかにまとめています3

管理不全空家等・特定空家等については、地方裁判所に対して民法の管理命令を請求することもできるとされています1

この段階に行く前に、できること

助言・指導の通知が来る前でも、来た後でも、選べる道は同じです。決めていないことが、いちばん高くつきます。

1まず名義を確かめる

相続登記には期限があります。2024年4月1日より前に相続を知っていた場合は2027年3月31日まで(相続登記の義務化)。どこに何があるかは名寄帳で洗い出せます。

2売れるかどうかを確かめる

売れるなら、それがいちばん手元に残ります。相続した家を売るときの3,000万円の特別控除には期限があります。愛知県は無料の相談窓口を開設しています4

3解体するなら

床面積80㎡以上の解体は、届出の義務が発注した側にあります解体の届出)。中の物を先に出しておくほうが、処分の経路がはっきりします。

4売れないなら

国に引き取ってもらう制度が2023年4月から始まっています。ただし建物があると申請できません相続土地国庫帰属制度)。

当サイトが書かないこと

代執行が実際にどれくらい行われているか、費用がいくらかかり、どこまで回収されているかは書きません。根拠になる資料を確認していないためです。

お住まいの市町村から通知が届いている場合は、まずその窓口にご連絡ください。意見書の提出期限も、公開による意見の聴取を請求できる5日という期限も、通知が届いてから動きます。

よくあるご質問

いきなり解体されることはありますか

ありません。空家法22条は、助言・指導、勧告、命令という段階を置いており、命令の前には意見書を提出する機会を与えなければならないとしています。通知書の交付を受けた日から5日以内に請求すれば、公開による意見の聴取も行われます。ただし期限が短いので、通知が届いたらすぐ動いてください。1

相続の話がまとまっていません。連絡がつかなければ進みませんか

進みます。空家法22条10項は、過失がなくて命令対象者を確知することができないときは、その者の負担において市町村長が措置を行えると定めています。あらかじめ公告したうえで行われ、費用を徴収する旨も公告に含まれます。1

相続人がいるかどうか分からない空き家はどうなりますか

空家法14条1項は、市町村長が家庭裁判所に対して相続財産清算人の選任を請求できると定めています。市町村の側から手続きが始まることがあります。1

勧告を受けると税金が上がると聞きました

正確には、勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例の適用対象から除外されます。「6倍になる」という表現を見かけますが、国土交通省の資料にその記載はなく、負担調整の仕組みがあるため単純に6倍にはなりません。2,5

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出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)第14条・第22条」https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127(2026-08-13取得)
  2. 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001712029.pdf(2026-08-09取得)
  3. 裁判所「相続財産清算人の選任」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html(2026-08-05取得)
  4. 愛知県建築局住宅計画課「あいち空き家活用さかさま相談室」https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/matching-platform.html(2026-08-09取得)
  5. 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律 新旧対照条文(令和5年12月13日施行)」https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621963.pdf(2026-08-09取得)

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