本サイトはアフィリエイト広告を利用しています。掲載順は当サイトの基準で決めており、報酬額では変わりません。
コラム/相続と手続き
何年も前の相続を抱えている方へ10年で、
変わるものがあります。
相続登記に期限ができたことは知られてきました。ただ、相続にはもう1つ、性質の違う期限があります。
こちらは名義の話ではありません。「取り分をどう決めるか」の話です。そして誤解されやすいので、条文のとおりに書きます。
まず、誤解を打ち消しておきます
「10年で遺産分割ができなくなる」ではありません
そう書いてあるページを見かけますが、条文はそう言っていません。
10年を過ぎても、法定相続分による遺産分割はできます。できなくなるのは、そこに上乗せする主張のほうです。
何が言えなくなるのかを、次に条文で見ます。
条文はこう書いています
前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。
民法 第904条の31
「前三条」というのが、この条文の肝です。指しているのは特別受益と寄与分に関する規定です。
| 10年を過ぎると | どうなるか |
|---|---|
| 遺産分割そのもの | できます。期限はありません |
| 特別受益の主張 (生前に多く受け取った人がいる、という話) | 原則として通らなくなります1 |
| 寄与分の主張 (自分は親の面倒を見た、という話) | 原則として通らなくなります1 |
つまり、10年を過ぎると法定相続分できれいに分ける形に寄っていくということです。
どちらが有利かは、立場によって逆になります
「親の介護を10年やったのは自分だ」という方にとっては、10年を過ぎることは不利です。寄与分の主張が通らなくなります。
逆に「生前に兄が家の頭金を出してもらっている」と言われている側にとっては、10年を過ぎることが有利に働くこともあります。
だから、話し合いが止まっているご家族ほど、この期限を確かめる意味があります。放置している間に、力関係が動いています。
例外が2つ書かれています
条文は、ただし書で2つの場合を除いています1。
110年を経過する前に、家庭裁判所に請求したとき
「相続開始の時から十年を経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき」です1。当事者間の話し合いでは足りません。家庭裁判所への請求が要件になっています。
2やむを得ない事由があったとき
10年の期間の満了前6か月以内に、遺産の分割を請求することができないやむを得ない事由が相続人にあった場合、その事由が消滅した時から6か月を経過する前に家庭裁判所に請求したときです1。
1つ目が実務的です。まとまらないまま10年が近づいているなら、家庭裁判所への請求という手があります。ただし申立てそのものの判断は専門家の領域です。
相続には、期限が2本あります
| 相続登記 | 遺産分割の10年 | |
|---|---|---|
| 何の期限か | 名義を移す | 取り分の主張ができる |
| 期限 | 取得を知った日から3年 (2024年4月1日より前に知っていた場合は2027年3月31日) | 相続開始の時から10年1 |
| 過ぎると | 10万円以下の過料の対象 | 特別受益・寄与分が原則として通らない1 |
| 止める手 | 相続人申告登記 | 家庭裁判所への遺産分割の請求1 |
相続登記のほうは相続登記の義務化にまとめました。2つは別の期限なので、片方を守っても、もう片方は進みます。
施行前に開始した相続の扱いは、当サイトでは書きません
この規定には経過措置がありますが、当サイトは附則の原文を確認していないため書きません。
何年も前に相続が開始している場合、ご自身にいつまでの猶予があるのかは弁護士または司法書士にご確認ください。不正確な要約で「まだ大丈夫」と思われるほうが危険です。
いま、できること
1相続がいつ開始したかを確かめる
亡くなった日です。10年まであと何年かを数えてください。
2言いたいことがあるなら、早く言う
介護をした、生前に援助があった。その主張には期限があります。言わないまま10年が過ぎると、条文の側で通らなくなります。
3何があるかを洗い出す
分ける前に、対象が分かっていなければ話になりません。不動産は名寄帳で洗い出せます。
4まとまらないなら、専門家へ
10年が近い場合、家庭裁判所への請求という手があります。ただし当事者間の話し合いだけでは、条文の例外に当たりません。弁護士にご相談ください。
よくあるご質問
10年を過ぎると遺産分割ができなくなりますか
いいえ。条文が「適用しない」としているのは特別受益と寄与分に関する規定で、遺産分割そのものに期限はありません。10年を過ぎても法定相続分による分割はできます。1
親の介護をずっとしてきました。主張できなくなりますか
寄与分の主張は、相続開始の時から10年を経過した後の遺産分割には原則として適用されません。ただし10年を経過する前に家庭裁判所に遺産の分割の請求をしていれば、この限りではないとされています。早めに専門家にご相談ください。1
きょうだいで話し合ってはいます。それで期限は止まりますか
条文の例外は「家庭裁判所に遺産の分割の請求をしたとき」と書かれています。当事者間の話し合いをしていることが、そのまま例外に当たるとは書かれていません。10年が近い場合は弁護士にご確認ください。1
20年前の相続です。もう手遅れですか
当サイトでは判断できません。この規定には経過措置がありますが、附則の原文を確認していないため書いていません。ご自身にいつまでの猶予があるのかは、弁護士または司法書士にご確認ください。
次に読むページ
出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第885条・第896条・第904条の3・第909条の2・第921条・第939条・第940条・第621条・第653条・第654条・第656条・第465条の2・第465条の4・第7条・第11条・第15条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-13取得)
会社の許可・料金・サービス内容は変わります。当サイトは取得日を添えて記録していますが、依頼の前にご自身でも最新の内容をご確認ください。