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コラム/法令と責任

片付けの続きにしないでください刀や銃が出てきたら、
まず警察署へ連絡します。

蔵や押し入れを片付けていたら、布に巻かれた刀が出てきた。古い銃らしきものが桐箱に入っていた。手が止まったまま、どこへ連絡すればいいのか分からない。そういう段階の方に向けて書きます。

銃砲刀剣類所持等取締法は、発見した人は速やかに最寄りの警察署へ届け出なければならないと定めています。登録証が一緒に見つかったかどうかで、次の行き先は変わります。順番を、条文と愛知県・三重県の案内から確かめていきます。

メモを取りながら電話で相談する人のイラスト

見つけたら、動かす前に警察署へ連絡します

刀や古い銃が出てきたとき、最初にすることは片付けの続きではありません。銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)は、発見及び拾得の届出として、こう定めています。

銃砲等又は刀剣類を発見し、又は拾得した者は、速やかにその旨を最寄りの警察署に届け出なければならない。

銃砲刀剣類所持等取締法 第23条1

この届出をしなかった場合は、同法第35条第2号により20万円以下の罰金の対象になります1。「片付けが一段落したら持っていこう」と箱に戻しておく状態が、そのまま法に触れる形になってしまいます。

愛知県警察は、銃刀法のページで自宅等から銃砲刀剣類を発見した方は、速やかに最寄りの警察署に連絡し、警察官の指示に従ってくださいと案内しています2。いきなり車に積んで出かけるのではなく、先に電話です。

三重県は発見届の手順を「最寄りの警察署に当該銃砲刀剣類を持参し」と書いていますが3、現物を持っていくかどうかは、連絡した署の指示で決まります。運ぶ前に、電話で確かめてください。管轄の署は、愛知県警察の一覧から探せます4,5。

運ぶこと自体に決まりがあります

銃刀法第24条第1項は、銃砲等または刀剣類を携帯し、または運搬する者は、その許可証・登録証を常に携帯していなければならないとしています1。登録証のない品を自分の判断で車に載せて動かす形は、この条文と噛み合いません。

だからこそ、順番として電話が先になります。警察官の指示に従って動かすのであれば、そこで手順を教えてもらえます。

何が「刀剣類」で、どれが登録できるのか

銃刀法第3条第1項は、法令に基づく職務のためなどの場合を除いて、何人も銃砲等または刀剣類を所持してはならないと定めています1。その例外のひとつが、第14条の登録を受けたものを所持する場合です(第3条第1項第6号)1。愛知県も三重県も、案内の冒頭でこの条番号を挙げています6,3。

では、その「刀剣類」がどこからかというと、第2条第2項に寸法で書かれています。

種類法律上の「刀剣類」に当たる大きさ
刀・やり・なぎなた刃渡り15センチメートル以上1
剣・あいくち刃渡り5.5センチメートル以上1
飛出しナイフ45度以上に自動的に開刃する装置を有するもの(一定の形状のものを除く)1

銃砲刀剣類所持等取締法 第2条第2項より1。錆びているか、切れるかどうかではなく、寸法と形で決まります。

そして登録の対象は、第14条第1項で美術品もしくは骨とう品として価値のある火縄式銃砲等の古式銃砲、または美術品として価値のある刀剣類とされています1。登録は登録審査委員の鑑定に基づいて行われる、とも書かれています(同条第3項)1。つまり、家にあるものが全部登録できるわけではありません。三重県は、外れるものの例をこう挙げています。

概ね慶応3年以降に製造されたあるいは伝来した古式銃砲、日本刀でない刀剣類並びに刃渡り15センチメートル未満の刀、やり及びなぎなた、5.5センチメートル未満の剣などは原則として登録対象になりません。

三重県「銃砲刀剣類の登録」3

ご家族が現物を見て判断できる話ではありませんし、当サイトでも個別の品が該当するかは判断できません。該当するかどうかを決めるのは、警察署と登録審査会です。

登録証があるとき──20日以内に、登録した都道府県へ

桐箱や刀袋に、賞状のような一枚の紙が入っていることがあります。「銃砲刀剣類登録証」です。これがあるなら、その品はすでに第14条の登録を受けています。次にすることは、名義を移す届出です。

登録を受けた銃砲又は刀剣類を譲り受け、若しくは相続により取得し、又はこれらの貸付け若しくは保管の委託をした者は、文部科学省令で定める手続により、二十日以内にその旨を当該登録の事務を行つた都道府県の教育委員会に届け出なければならない。

銃砲刀剣類所持等取締法 第17条第1項1

期限は20日です。この届出をせず、または虚偽の届出をしたときは、第32条第3号により1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象になります1。相続の手続きの中では目立たない期限ですが、期限のある手続きの一覧に並べて考えてください。

届出先は、住んでいる場所ではなく登録の事務を行った都道府県です。登録証に県名が書かれています。愛知県も「愛知県以外の都道府県登録の銃砲刀剣の場合は、該当都道府県担当課にお問い合わせください」と案内しています6。

県届出先出し方
愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室
052-954-6782(名古屋市中区三の丸三丁目1番2号)
所有者変更届出書を郵送・持参、または電子申請・届出システム。登録証のコピーを添付6
三重県教育委員会事務局 社会教育・文化財保護課
059-224-2999(津市広明町13番地)
電子申請システム、または所有者変更届出書を郵送・FAX・メール。登録証の写しを添付3

どちらの県も、相続により取得した場合は20日以内としています6,3。

条文は「教育委員会」ですが、愛知県の窓口は知事部局です

第17条第1項の届出先は「都道府県の教育委員会」と書かれています。ただし第14条第1項のかっこ書きに、条例の定めるところにより知事が文化財の保護に関する事務を管理し執行することとされた都道府県では、その知事が行うとあります1。

愛知県はこの形で、窓口は教育委員会ではなく県民文化局文化部文化芸術課文化財室です6。三重県は教育委員会事務局の社会教育・文化財保護課が担当しています3。「教育委員会に電話したら違うと言われた」となりやすいところなので、先に確かめておいてください。

なお三重県は、所有者変更・住所変更の手続きでは登録証自体は更新されないと注記しています3。登録証の記載が前の所有者のままでも、届出が受理されていれば手続きは済んでいる、ということです。

登録証がないとき──発見届、登録申請、審査会の順です

登録証が見当たらない場合は、名義を移す話の前に、その品を登録するところから始まります。愛知県が案内している順番です。

  1. 一 警察署に発見届を出す

    最寄りの警察署に「銃砲刀剣類等発見届」を提出すると、「発見届出済証」が交付されます6。愛知県警察の案内では、警察署から古式銃砲・刀剣類発見届出済証と古式銃砲・刀剣類登録通知書を受領する、と書かれています7。

  2. 二 登録審査の申請をする

    愛知県では、県庁西庁舎8階の文化財室、または県内各教育事務所で申請します(事前の電話連絡が必要)6。愛知県警察は、発見届出済証を受領した後、速やかに住所の所在する都道府県教育委員会等が行う登録審査の申請をするよう案内しています7。持ち物は発見届出済証と、本人確認のできるもの(運転免許証、健康保険証など)6。

  3. 三 登録審査会を受審する

    愛知県が開催する「銃砲刀剣類登録審査会」を受審し、合格すれば登録証が交付されます6,7。手数料は当日払いで、6,300円(1件あたり・愛知県収入証紙。2025年1月20日からキャッシュレス決済にも対応)6。

代理の方が申請する場合は、委任状と、申請者本人(発見届出済証の「発見者」)の身分証が加わります6。遠方にお住まいのごきょうだいが動くことになったら、ここを先に読んでおいてください。

申請先は、文化財室のほかに県内各教育事務所があります。連絡先は愛知県が公開しています6。

名称所在地電話
県民文化局文化部文化芸術課 文化財室 管理グループ名古屋市中区三の丸3-1-2052-954-6782
尾張教育事務所 指導第一課・指導第二課名古屋市中区三の丸2-6-1052-961-1903
海部教育事務所 指導課津島市西柳原町1-140567-24-2111
知多教育事務所 指導課半田市出口町1-360569-21-8111
西三河教育事務所 指導課岡崎市明大寺本町1-40564-27-2739
東三河教育事務所 指導課豊橋市八町通5-40532-54-5111
東三河教育事務所 新城設楽支所 指導グループ新城市字石名号20-10536-23-2119

愛知県「銃砲刀剣類の登録・所有者変更等の手続について」の連絡先一覧より6。ほかに設楽教育指導室(北設楽郡設楽町)もあります。

三重県では、登録審査会に現物と発見届出済証、手数料、本人確認のできるものを持参します3。審査会は予約制で、受審できるのは発見届を出した方の住所地の都道府県です。三重県の審査会を受けられるのは県内に居住している方に限られます3。

登録できなかったものは、そのまま持てません

ここが、この記事でいちばん書いておきたいところです。愛知県警察は、審査に通らなかった場合をはっきり書いています。

登録審査が不合格であったため登録できない又は博物館等が受け付けないため寄贈できない銃砲刀剣類をそのまま所持すると、銃砲刀剣類所持等取締法違反(不法所持)となります。

愛知県警察「発見した銃砲刀剣類の登録手続等」7

続けて、不合格または寄贈できなかった場合は、速やかに住所地を管轄する警察署に連絡して、銃砲刀剣類の措置について相談するよう案内されています7。手放し方まで含めて、警察署が相談先です。

刀剣類を第3条第1項に反して所持したときの罰則は、第31条の16第1項第1号で3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています1。故人の持ち物だったから、しまってあっただけだから、という理由で外れる規定ではありません。

いっぽうで、行き先がないわけでもありません。愛知県警察は、博物館等へ寄贈できる場合があると書き、手続きの詳細は博物館等に問い合わせるよう案内しています7。登録に通らなかったからといって、その場で捨てる判断はしないでください。

猟銃や空気銃は、登録ではなく許可の話です

同じ銃刀法の中でも、猟銃・空気銃は別の制度で動いています。刀剣や古式銃砲は都道府県の登録、猟銃・空気銃は都道府県公安委員会の許可です。ここを混ぜると窓口を間違えます。

刀剣類・古式銃砲猟銃・空気銃
制度登録(第14条)1所持の許可(第4条・第6条)1
窓口都道府県の教育委員会等(愛知県は文化財室)6都道府県公安委員会(申請・届出の様式は愛知県警察が公開)8
亡くなったとき登録は残る。20日以内に所有者変更の届出1許可が失効する1

銃刀法第8条第1項第2号は、許可を受けた者が死亡した場合、その許可は効力を失うと定めています1。効力を失った時点から、その銃を家に置いておく根拠が無くなります。そのあと、条文には2つの期限が並んでいます。

10日許可証を返納する

死亡により許可が失効したときは、死亡の届出をしなければならない者が、死亡の事実を知った日から起算して10日以内に許可証を返納します。順位は、一に同居の親族、二にその他の同居者1。この返納を怠った場合は、第35条第2号により20万円以下の罰金の対象です1。愛知県警察は「銃砲等又は刀剣類所持許可証等返納届出書」の様式を公開しています8。

50日銃そのものの行き先を決める

許可が失効した日から起算して50日以内に、相続により取得した方などが、あらためて所持の許可を受けるか、適法に所持できる者へ売り渡す・贈与する・返還する・廃棄するなど、所持しないこととするための措置をとります1。この期間に限って、第3条第1項の所持の禁止は適用されません1。裏を返すと、50日を過ぎると適用されるということです。

猟銃を第3条第1項に反して所持したときの罰則は、第31条の11第1項第1号で5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金とされています1。刀剣類より重い定めです。銃と実包(弾)が一緒に保管されていることもありますから、戸棚の扉を開けたら、そこで手を止めて警察署に電話してください。

売る・譲る・運ぶ前に、登録証を確かめます

遺品整理では、まとめて買取に出す流れになりがちです。刀剣と銃だけは、その流れから外してください。理由は3つあります。

  • 受け取る側も所持者になる登録を受けていない刀剣類は、誰が持っていても第3条第1項の所持の禁止に当たります1。「引き取ってもらう」で終わりにはなりません。
  • 運搬中は登録証の携帯が要る携帯し、または運搬する者は、その品に係る許可証・登録証を常に携帯していなければならないと定められています(第24条第1項)1。
  • 譲り受けた側にも20日の期限がある譲受けも相続と同じく、20日以内に登録した都道府県への届出が要ります(第17条第1項)1。

登録証を失くしてしまった、汚れて読めない、という場合は再交付です。愛知県・三重県ともに手数料は1件3,500円で、あらためて登録審査会を受審することになります6,3。登録証が無いまま買取に出す形は、この手続きを飛ばすことになります。

買取を頼む会社の側については、古物営業法の許可の話があります。どこを確かめるかは買取をする会社の許可にまとめました。刀剣と銃は、警察署への連絡と登録の手続きが済んでから、はじめて売る話になります。順番が逆にならないようにしてください。

慌てて処分しないでください

亡くなった方が長く手元に置いていたものです。ご家族としては、扱いに困る物としてまとめて出してしまいたくなる場面かもしれません。

ただ、刀剣類と銃砲は、捨てる形も法律の中に入っています。区の収集にも自己搬入にも出せませんし、行き先がなければ警察署が相談先です7。ほかの捨て方に決まりがあるものと同じで、あとから戻せない判断は、確かめてからで構いません。

この記事の要点

よくあるご質問

錆びていて、刃もありません。それでも届出が要りますか

法律の「刀剣類」は、切れるかどうかではなく刃渡りなどの寸法で定められています(第2条第2項)。当サイトでは、個別の品が該当するかを判断できません。愛知県警察は、自宅等から銃砲刀剣類を発見した方は速やかに最寄りの警察署に連絡し、警察官の指示に従うよう案内していますので、まず電話でご相談ください。1,2

登録証は見つかりましたが、名義が亡くなった方のままです

相続により取得した場合は、20日以内に、その品を登録した都道府県へ所有者変更の届出をします(第17条第1項)。届出先は住所地ではなく、登録証に書かれた都道府県です。愛知県登録なら県民文化局文化部文化芸術課文化財室(052-954-6782)、三重県登録なら県教育委員会事務局の社会教育・文化財保護課になります。1,6,3

片付けの会社に、刀もまとめて引き取ってもらえますか

登録を受けていない刀剣類は、渡した先でも第3条第1項の所持の禁止に当たります。引き取ってもらえば済む、という形にはなりません。先に最寄りの警察署へ連絡し、指示に従ってください。登録証がある品を売る場合も、譲り受けた側に20日以内の届出が生じます。1,2

登録の手数料は、いくらかかりますか

愛知県・三重県ともに、新規登録は1件あたり6,300円、登録証の再交付は1件あたり3,500円です。愛知県は登録審査会の当日に愛知県収入証紙で支払う形で、2025年1月20日からはクレジットカードや電子マネー、コード決済も使えます。6,3

次に読むページ

出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「銃砲刀剣類所持等取締法(昭和33年法律第6号)第2条・第3条・第4条・第6条・第8条・第14条・第17条・第23条・第24条・第31条の11・第31条の16・第32条・第35条」https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000006(2026-09-05取得)
  2. 愛知県警察「銃刀法・火薬類取締法(「自宅等から銃砲刀剣類を発見した方は、速やかに最寄りの警察署に連絡し、警察官の指示に従ってください」)」https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/jutouhou/index.html(2026-09-05取得)
  3. 三重県 教育委員会事務局 社会教育・文化財保護課「文化財:銃砲刀剣類の登録(登録対象外となるものの例。登録審査会は予約制で発見届を出した方の住所地の都道府県でのみ受審。手数料1件6,300円・再交付3,500円。相続により取得した場合は20日以内に所有者変更を届出)」https://www.bunka.pref.mie.lg.jp/bunkazai/49853039816.htm(2026-09-05取得)
  4. 愛知県警察「市区町村名から探す(愛知県内の各市区町村を管轄する警察署の案内。尾張・西三河・東三河の各ページから市町村名を選ぶと管轄署のページに移る)」https://www.pref.aichi.jp/police/syokai/shozaichi/shichouson/(2026-09-03取得)
  5. 愛知県警察「警察署・幹部交番所在地」https://www.pref.aichi.jp/police/syokai/shozaichi/keisatsusho.html(2026-09-02取得)
  6. 愛知県 県民文化局文化部文化芸術課文化財室「銃砲刀剣類の登録・所有者変更等の手続について(新規登録は発見届→登録申請→登録審査会の3段階。登録手数料1件6,300円・再交付3,500円。相続により取得した場合は20日以内に所有者変更を届出。文化財室と県内各教育事務所の連絡先一覧つき)」https://www.pref.aichi.jp/soshiki/bunkazai/0000065808.html(2026-09-05取得)
  7. 愛知県警察「発見した銃砲刀剣類の登録手続等(発見届出済証の受領→登録審査の申請→登録審査会の受審。博物館等への寄贈。登録審査が不合格であったため登録できない又は寄贈できない銃砲刀剣類をそのまま所持すると不法所持となる)」https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/jutouhou/images/tourokuseido.pdf(2026-09-05取得)
  8. 愛知県警察「銃砲刀剣類所持等取締法に基づく各種申請・届出様式(銃砲等又は刀剣類所持許可証等返納届出書を含む)」https://www.pref.aichi.jp/police/shinsei/jutouhou/juhou.html(2026-09-05取得)

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