特殊清掃の会社に、法律上の許可は必要ですか
清掃そのものに許可は要りません。家財を業として運ぶには市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可、床や壁の復旧を請け負うには軽微な工事を除いて建設業の許可、遺品の買取には古物商の許可が要ります。2,7,14
コラム/法令と責任
特殊清掃という作業そのものを定めた法律は、当サイトが確認した範囲ではありません。総務省の報告書も、遺品整理サービスに公定や公認の仕組みは無いと述べています。
ただし、家財を運ぶ、床を直す、訪問を受けて契約する、遺品を売る、部屋を貸す・売る——作業の段階ごとに、別の法律が関わります。依頼する側が知っておくべき順に並べました。

総務省行政評価局の報告書は、遺品整理の料金や手順について「公定や公認の仕組みは存在しない」としています1。特殊清掃も同じで、作業の方法や料金を定めた法律はありません。関わるのは次の法律です。
| 段階 | 法律・資料 | 誰に関わるか |
|---|---|---|
| 家財を運ぶ・捨てる | 廃棄物処理法 | 運ぶ会社(許可)と、依頼する側(排出者) |
| 床・壁を直す | 建設業法 | 工事を請け負う会社 |
| 訪問を受けて契約する | 特定商取引法 | 依頼する側(8日間の解除) |
| 遺品を売る | 古物営業法・特定商取引法(訪問購入) | 買い取る会社と、売る側 |
| 費用を誰が払うか | 民法(相続・原状回復・保証) | 相続人・連帯保証人・貸主 |
| 貸す・売る | 人の死の告知ガイドライン(国土交通省) | 貸主・売主・宅地建物取引業者 |
| 賃貸の家財・空き家 | 残置物のモデル契約条項、空家等対策特別措置法 | 貸主・所有者 |
| においを測る | 悪臭防止法 | 測定する人(臭気判定士) |
家庭から出た廃棄物は一般廃棄物で、業として収集・運搬するには、その区域の市町村長の許可が要ります2,3。名古屋市は、片付け業や遺品整理業に伴って出たごみを市の許可なく運ぶことは違法だと案内しています4。
この許可は取りにくいものです。総務省の調査では、遺品整理サービス事業者69社のうち許可を持っていたのは34社で、取得を希望しても取れていない会社が21社ありました1。だから多くの会社は「許可業者と提携」して運びます。それ自体は問題ありません。確かめるのは、実際に運ぶ会社がその市町村の許可を持っているかです(許可を自分で確かめる)。
体液が付いた畳や布団が「感染性廃棄物」にあたるかは、施設で線引きされています。政令が感染性廃棄物の生じる施設として挙げるのは病院・診療所などで5、一般の住宅から出る物は家庭の廃棄物として扱われます。在宅医療の注射針などは別の扱いです6(体液が付いた畳や布団は特別な廃棄物か)。
無許可の業者に渡すと、依頼した側にも責任が残ります
廃棄物処理法は、排出者が適正に処理する責任を定めています。安さだけで無許可の回収業者に渡した場合、不法投棄があれば依頼した側が問われることがあります(無許可の回収業者と排出者責任)。
床材の張替えや壁の下地の復旧を請け負うには、建設業の許可が要ります。ただし建設業法は軽微な建設工事を例外とし、施行令はその範囲を、建築一式工事以外では請負代金の額が500万円に満たない工事などと定めています7,8。
特殊清掃の後の復旧は、この範囲に収まることが多いはずです。許可の有無は国のシステムで誰でも調べられます9。大きな工事になるときは、清掃の会社が自社で請けるのか、提携の工事会社に引き継ぐのかを見積で分けてもらいます(復旧工事と建設業の許可)。
会社の訪問を受けて、その場で契約した場合は訪問販売にあたり、法定の書面を受け取った日から8日以内であれば理由なく解除できます10。見積に来てもらい、その日に契約書に名前を書いた、という場面がこれです。
遺品を家に来て買い取ってもらう取引は訪問購入で、こちらにも8日間の解除があります11。国民生活センターには、見積より高い金額を後から請求される相談が繰り返し寄せられています12,13(契約したあとの8日間)。
遺品の買取を業として行うには、都道府県公安委員会の古物商の許可が要ります14。清掃と一緒に「買い取れる物は引き取ります」と案内する会社は、この許可を持っているか、持っている会社に引き継いでいるかのどちらかです。許可番号は公式サイトか見積書で確かめられます(遺品の買取で確かめること)。
費用を負担するのは原則として相続人です。相続人は、亡くなった方の財産に属した一切の権利義務を引き継ぎます15。相続放棄は、相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述し16、放棄すれば初めから相続人でなかったことになります15。相続財産を処分すると単純承認とみなされるので、片付けの前に判断します16。
賃貸では、借主は通常の使用による損耗と経年変化を除いて部屋を元に戻す義務を負い、相続人がそれを引き継ぎます15。個人の連帯保証人は、書面で定めた極度額の範囲でしか責任を負いません15。誰にどこまで請求が及ぶかは特殊清掃の費用は誰が払うのかに、払えない場合は費用が払えないときにまとめています。
国土交通省のガイドラインは、宅地建物取引業者が貸す・売るときの告知の考え方を示しています。自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてよいとされます。ただし、長期間放置されて特殊清掃等が行われた場合は別で、告げる対象になります17。
賃貸では、発覚からおおむね3年を経過した後は原則告げなくてよいとされます。この3年は賃貸借の記載で、売買には同じ期限の記載がありません17。告げる内容は、発生時期(特殊清掃等は発覚時期)、場所、死因、特殊清掃が行われた旨で、氏名や具体的な死の態様は告げる必要がないとされています17(貸す側から見た告知、借りる側から見た告知)。
賃貸住宅で入居者が亡くなり、相続人と連絡が取れない場合、残った家財を貸主が勝手に処分することはできません。国土交通省と法務省は、入居時に受任者を決めておくためのモデル契約条項を示しています18,19(賃貸で入居者が亡くなったら)。
持ち家をそのまま置いておくと、空家等対策特別措置法の対象になることがあります。管理されていない空き家は改正法で「管理不全空家」として指導・勧告の対象になり20,21、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例から外れます22(清掃後の空き家を管理する)。
悪臭防止法は、においの程度を「臭気指数」で表し、その測定を臭気測定業務従事者に委託できると定め、環境大臣が知識の試験と嗅覚の適性検査を行うとしています23。この試験に合格した人が臭気判定士(国家資格)です24。
住宅の特殊清掃に、この測定が義務づけられているわけではありません。ただ、消臭保証の「臭いが消えた」を誰がどう判定するかは契約で曖昧になりやすいので、測定を頼めるか、再対応の条件は何かを書面で確かめます(においを誰が測るのか、消臭保証の書面で確かめること)。
清掃そのものに許可は要りません。家財を業として運ぶには市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可、床や壁の復旧を請け負うには軽微な工事を除いて建設業の許可、遺品の買取には古物商の許可が要ります。2,7,14
国土交通省のガイドラインでは、自然死は原則告げなくてよいとされますが、長期間放置されて特殊清掃等が行われた場合は告げる対象です。賃貸は発覚からおおむね3年を経過すれば原則不要で、売買には同じ期限の記載がありません。17
廃棄物処理法は排出者の責任を定めています。渡した先で不法投棄があれば、依頼した側が問われることがあります。運ぶ会社の許可を、市町村の許可業者一覧で確かめてください。2
会社の許可・料金・サービス内容は変わります。当サイトは取得日を添えて記録していますが、依頼の前にご自身でも最新の内容をご確認ください。