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コラム/相続と手続き
引き取るかどうか迷っている方へ法律は、
決めてあります。
疎遠だった親族が亡くなったと連絡が来た。あるいは、入居者が亡くなったが親族が誰も引き取らない。そのままにしたら、どうなるのか。
この問いには、条文で答えが用意されています。ただし「引き取らない」という選択と「相続放棄」は別のものなので、そこを混ぜないように整理します。
行う人がいなければ、市町村長が行います
死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。
2 前項の規定により埋葬又は火葬を行つたときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法…の規定を準用する。
墓地、埋葬等に関する法律 第9条1
「できる」ではなく「行わなければならない」と書かれています。誰も行う人がいなければ、ご遺体がそのまま置かれることにはなりません。
注意していただきたいのは、「死亡地の市町村長」という点です。亡くなった方の住所地ではありません。旅先や入院先で亡くなった場合は、その土地の市町村になります。
費用はどうなるのか
条文は、費用について行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用するとしています1。この法律は、亡くなった方の遺留金品を充てたうえで、足りない分を相続人や扶養義務者に請求できる仕組みを持っています。
つまり「市町村がやってくれるから、こちらに請求は来ない」とは限りません。実際にどうなるかは自治体の運用によるため、当サイトでは断定しません。連絡を受けた市町村に直接お尋ねください。
生活保護の葬祭扶助という制度もあります
亡くなった方やご遺族の経済状況によっては、生活保護法の葬祭扶助が使える場合があります。同法18条は、葬祭扶助として検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものの範囲内で行われると定めています2。
これは葬儀そのものへの補助ではなく、火葬などに必要な範囲のものです。使えるかどうかは、お住まいの自治体の福祉の窓口にご相談ください。
名古屋市の場合、相談は各区役所の福祉課になります。
相続放棄との関係
ここが、いちばん問い合わせの多いところだと思います。
「火葬をしたら放棄できなくなるか」は、当サイトでは判断できません
相続財産を処分すると単純承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。では、亡くなった方のお金で葬儀や火葬をした場合はどうか。
当サイトの調査では、この点について公的機関の判断を確認できませんでした。争いのある領域です。
放棄を考えている方は、費用を出す前に弁護士または司法書士にご相談ください。ご自身のお金で出す場合と、亡くなった方のお金で出す場合とで、話が変わり得ます。
相続放棄の手続きそのもの、そして片付けとの順番については相続放棄と、部屋の片付けに書いています。熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」なので、迷っている時間はあまりありません。
なお、相続放棄をしても、火葬や埋葬を行うことが禁じられるわけではありません。逆に、放棄をしていなくても、行う義務が当然に生じるわけでもありません。この2つは別の制度です。
貸主・管理会社の方へ
入居者が亡くなり、相続人が誰も出てこない場合の実務は、ご遺体とお部屋で分かれます。
ここを混同すると、待っていても何も進みません。火葬は市町村が行っても、お部屋はそのままです。
相続人がいない場合の手順は相続人がいない部屋を、どうするかに、いつ何ができるようになるかの期日は次の募集までの時間表にまとめています。
入居の時点で打てる手があります
2025年10月1日から、都道府県が指定する居住支援法人が、入居者本人からの委託にもとづいて残置物処理等業務を行えるようになりました。ただし委託できるのは入居者本人だけで、貸主が後から頼む制度ではありません。
仕組みは居住サポート住宅と残置物処理に書いています。
よくあるご質問
疎遠な親族の遺体を引き取らないと、どうなりますか
墓地埋葬法9条は、埋葬または火葬を行う者がないとき、または判明しないときは、死亡地の市町村長が行わなければならないと定めています。ただし費用については行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定が準用されるため、後から請求が来ないとは限りません。連絡のあった市町村にご確認ください。1
火葬をすると相続放棄できなくなりますか
当サイトでは判断できません。この点について公的機関の判断を確認できていません。亡くなった方のお金で出す場合とご自身のお金で出す場合とで結論が変わり得る領域です。費用を出す前に弁護士または司法書士にご相談ください。
貸主です。市町村が火葬してくれれば、部屋も片付きますか
片付きません。墓地埋葬法9条が定めているのは埋葬・火葬についてで、室内の残置物は対象外です。残置物は相続人、または家庭裁判所が選任した相続財産清算人が扱います。1,3
費用を出せません
生活保護法18条の葬祭扶助が使える場合があります。検案、死体の運搬、火葬または埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものの範囲内で行われるものです。お住まいの自治体の福祉の窓口にご相談ください。2
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出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年法律第48号)第9条」https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048(2026-08-13取得)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「生活保護法(昭和25年法律第144号)第18条(葬祭扶助)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144(2026-08-05取得)
- 裁判所「相続財産清算人の選任」https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_15/index.html(2026-08-05取得)
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