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コラム/亡くなった後の実務
線引きは、政令の別表にありますお部屋から出る物は、
特別な廃棄物ではありません。
「体液が付いた畳は、普通のごみとして出していいのか」。ご遺族からも、貸主の方からも、よくいただくご質問です。特別な処理が要るのではないかという不安です。
結論を先に書きます。感染性廃棄物として特別な扱いになる範囲は、政令の別表で施設を挙げる形で決まっていて、一般の住居はそこに入っていません。ただし、在宅医療をされていた場合の注射針だけは話が別です。
線引きは、施設で決まっています
「感染性廃棄物」という言葉は、なんとなく物の状態で決まりそうに聞こえます。血液が付いていたら感染性、というふうに。ところが条文は、そうなっていません。
廃棄物処理法施行令1条は、特別管理一般廃棄物を列挙しています。その8号がこれです。
別表第一の四の項の中欄に掲げる施設において生じた同項の下欄に掲げる廃棄物(国内において生じたものに限る。以下「感染性一般廃棄物」という。)
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 第1条第8号1
「施設において生じた」。ここが線です。ではその施設とは何か。別表第一の四の項の中欄に、こう並んでいます。
| 記号 | 施設 |
|---|---|
| イ | 病院 |
| ロ | 診療所 |
| ハ | 医療法第2条の2第2項に規定するオンライン診療受診施設 |
| ニ | 臨床検査技師等に関する法律第20条の3第1項に規定する衛生検査所 |
| ホ | 介護保険法第8条第28項に規定する介護老人保健施設 |
| ヘ | 介護保険法第8条第29項に規定する介護医療院 |
| ト | イからヘまでのほか、感染性病原体を取り扱う施設であつて環境省令で定めるもの |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令 別表第一の四の項 中欄より1。
一般の住居は、ここに書かれていません。アパートも、戸建ても、賃貸も持ち家もです。したがって、お部屋から出る畳・布団・衣類・家財は、その状態にかかわらず感染性一般廃棄物にはあたりません。通常の一般廃棄物として、市町村の仕組みで処理されます。
「特別な廃棄物だから高くなる」ではありません
特殊清掃の費用が高くなる理由は、廃棄物の区分ではありません。作業そのもの──消毒、脱臭、床材や下地の交換、防護具、作業人数と時間──にかかります。
見積の中に「感染性廃棄物処理費」といった行が入っていて、それが何を指すのか説明されない場合は、何の費用なのかをお尋ねください。防護服や資材の実費であれば、そう説明されるはずです。見積書の読み方は別の記事にまとめました。
在宅医療をされていた場合
ここからが、実際に気をつけていただきたいところです。ご自宅で治療を続けておられた方のお部屋には、医療で使われた物が残っていることがあります。
環境省の手引きは、まず区分をはっきりさせています。
廃棄物処理法上、在宅医療廃棄物は一般廃棄物であり、原則として市町村にその処理責任がある
環境省「在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引き」2
そのうえで、望ましい処理方法として2つに分けています2。
- 一 注射針等の鋭利な物
医療関係者あるいは患者・家族が医療機関へ持ち込み、感染性廃棄物として処理する。
- 二 その他の非鋭利な物
市町村が一般廃棄物として処理する。
非鋭利な物について、手引きはさらに踏み込んで書いています。
これら非鋭利な物による感染の可能性は、現状、市町村が収集、運搬及び処分を行っている血液が付着した絆創膏等と同程度であり、専門的知識を有する者でなくても安全に取り扱うことが可能なことから、市町村が着実にその処理の取組を進めることが必要である。
同手引き2
ガーゼやチューブ類を過度に恐れる必要はない、というのが行政の示している考え方です。危ないのは、刺さる物です。
名古屋市の場合、どう出すか
片付けの手を止める場面
お部屋に入って、次のものが目に入ったら、そこで手を止めてください。
- 注射針・ペン型の自己注射器糖尿病などで自己注射をされていた場合に残っています。針は小さく、袋の中や布団の間に紛れていることがあります。
- 点滴のセット・カテーテル訪問診療を受けておられた場合。針が付いたままのことがあります。
- 使用済みの薬剤・在宅酸素の機器機器は貸与品のことが多く、業者への返却が必要です。処分せず、まず確認してください。
- 刃物・割れたガラス医療とは別ですが、同じく刺さる物です。まとめて業者に伝えてください。
ご自身で袋に詰めていると、袋の外から手で押さえたときに刺さります。ゴミ袋越しの針刺しは実際に起きます。見つけたら位置を伝えるだけにして、回収は作業する側に任せてください。
自分で片付ける範囲の線引きは自分で片付けようと思っている方へにまとめました。
会社に確かめること
この記事の要点
- 感染性一般廃棄物は、政令の別表に挙げられた施設で生じたものに限られます(廃棄物処理法施行令1条8号)。
- 別表に挙がっているのは、病院・診療所・オンライン診療受診施設・衛生検査所・介護老人保健施設・介護医療院などです。
- 一般の住居は列挙されていません。お部屋から出る家財は、通常の一般廃棄物として扱われます。
- 在宅医療で使われた物も、廃棄物処理法上は一般廃棄物で、原則として市町村に処理責任があります。
- 環境省は、鋭利な物は医療機関へ、鋭利でない物は市町村が一般廃棄物として処理する方法を示しています。
- 鋭利でない物の感染の可能性は「血液が付着した絆創膏等と同程度」で、専門的知識がなくても安全に扱えるとされています。
- 名古屋市では、注射器・注射針は病院・診療所・訪問看護ステーション・薬局へ持参します。ガーゼ等は可燃ごみです。
よくあるご質問
病院で亡くなった場合と、自宅で亡くなった場合で、扱いは違いますか
廃棄物の区分としては、生じた施設で決まります。病院で生じたものは政令の別表に挙げられた施設で生じた廃棄物にあたりますが、ご自宅から出る家財はそこに含まれません。お部屋の家財は、通常の一般廃棄物として扱われます。1
介護施設の居室の場合はどうなりますか
別表には介護老人保健施設と介護医療院が挙げられています。一方、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、そこに列挙されていない施設もあります。個別の判断は施設の運営者と市町村の廃棄物担当課にご確認ください。1
感染が心配です。部屋に入っても大丈夫でしょうか
環境省の手引きは、鋭利でない在宅医療廃棄物について、感染の可能性は血液が付着した絆創膏等と同程度で、専門的知識がなくても安全に取り扱うことが可能としています。ただし針など刺さる物は別です。ご不安であれば、換気をしたうえで、作業は業者にお任せください。2
注射針を普通のごみに出してしまいました
収集を担当する市町村の窓口にご連絡ください。名古屋市の場合は環境局事業部作業課です。回収作業をされる方の針刺しを防ぐため、早めにお伝えいただくほうがよいです。3
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出典
- e-Gov法令検索(昭和46年政令第300号)「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(第1条第8号 特別管理一般廃棄物/別表第一の四の項 感染性廃棄物が生じる施設=病院・診療所・オンライン診療受診施設・衛生検査所・介護老人保健施設・介護医療院ほか)」https://laws.e-gov.go.jp/law/346CO0000000300(2026-08-18取得)
- 環境省「在宅医療廃棄物の処理に関する取組推進のための手引き(平成20年3月・在宅医療廃棄物の処理の在り方検討会)」https://www.env.go.jp/recycle/misc/gl_tmwh/index.html(2026-08-18取得)
- 名古屋市「家庭から出る医療廃棄物の分け方・出し方(注射器・注射針は病院・診療所・訪問看護ステーション・薬局へ持参、ガーゼ等は可燃ごみ)」https://www.city.nagoya.jp/kurashi/gomi/1012183/1012256.html(2026-08-18取得)
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