はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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コラム/会社の選び方

においの物差し法律は、機械ではなく
人間の鼻で測ると決めています。

「においが消えた」と業者が言う。あなたはまだ、においを感じる。——このすれ違いには、実は公的な答えの出し方があります。

悪臭防止法という法律が、においの測り方と、測る人の資格を定めています。消臭保証の「判定の方法」を書面で決めるときの、土台になる知識です。

「臭気指数」——嗅げなくなるまで薄めて、何倍だったか

悪臭防止法2条は、においの程度を表す「臭気指数」をこう定義しています。

「臭気指数」とは、気体又は水に係る悪臭の程度に関する値であつて、環境省令で定めるところにより、人間の嗅覚でその臭気を感知することができなくなるまで気体又は水の希釈をした場合におけるその希釈の倍数を基礎として算定されるものをいう。

悪臭防止法 第2条第2項1

つまり、においの強さを「人が嗅げなくなるまで何倍に薄めたか」で数値にします。分析機器で成分濃度を測る方法(同法にはアンモニアなど政令指定の「特定悪臭物質」の濃度規制もあります1)と並んで、人間の鼻そのものを物差しにする方法が、法律の正面に据えられています

なぜ機械ではなく鼻なのか

亡くなった方の部屋のにおいに限らず、生活の中のにおいは多数の成分の混ざりもので、機器で個々の成分を測っても「人がどれだけ不快に感じるか」とは一致しないことがあります。

複数の成分が混ざった状態をまるごと評価できるのは、いまのところ人間の嗅覚です。法律は、それを前提に組み立てられています。

測る人には、国家試験と「嗅覚の検査」があります

人間の鼻を物差しにする以上、測る人の質が結果を左右します。そこで法律は、測る人の側に資格を置きました。

環境大臣は、臭気指数等に係る測定の業務に従事するのに必要な知識及び適性を有するかどうかを判定するため、臭気指数等に係る測定に関する必要な知識についての試験及び臭気指数に係る測定に関する嗅覚についての適性検査を行う。

悪臭防止法 第13条第1項1

この試験に合格した資格者を、環境省は臭気判定士(国家資格)と呼んでいます2。環境省の説明では、臭気判定士は嗅覚測定法において「パネルの選定、試料の採取、判定試験の実施、結果の取りまとめといった一連の作業を管理・統括する責任者」です2

注目してほしいのは、知識の試験だけでは足りないという作りです。嗅覚そのものの適性検査に合格しなければ、免状は交付されません2。においを測る資格の入口に、「あなたの鼻は正常か」という検査が置かれているわけです。

この仕組みは、公的な測定で実際に使われています

悪臭防止法の規制の中心は、工場その他の事業場の事業活動に伴う悪臭です1。この枠組みの中で、測定の担い手が条文に書かれています。

  • 測定するのは市町村長。規制地域の大気について、特定悪臭物質の濃度または臭気指数の測定を行わなければならない、とされています(11条)1
  • その測定は、資格者に委託できる。臭気指数等の測定は、国・地方公共団体のほか、13条の試験と適性検査に合格した臭気測定業務従事者(またはその者に測定させる法人)に委託できます(12条)1

つまり「においの苦情を役所が測る」という場面の裏には、嗅覚検査を通った資格者が定められた方法で測るという段取りが法律で決まっています。においの世界にも、ちゃんと公的な物差しと測り手がいるのです。

この知識を、消臭の依頼でどう使うか

ここからが本題です。特殊清掃の消臭で揉めるのは、ほとんどが「消えたかどうかを、誰がどう判定するのか」が決まっていないときです。当サイトはにおいが消えないときで、消臭保証を「期間・判定の方法・再施工の範囲・費用の負担者」の4点で書面にすることをおすすめしています。この記事の知識は、2つ目の「判定の方法」で効きます。

1「判定の方法」を、作業前に聞く

「消臭の完了は、誰が、どうやって判定しますか」。作業した本人の鼻だけで判定するなら、それは自己採点です。依頼者側の立会い確認を判定に含めるか、書面で決めてください。

2第三者の測定を入れられるか、聞いてみる

臭気指数の測定を業として行う会社があり、その業務の管理者が臭気判定士です2。賃貸の原状回復や告知の場面で「においが残っていないこと」を客観的に示したいとき、第三者測定を入れられるかは会社に確認できます。どの場面で使えるか・費用がいくらかを示した公的資料は確認できなかったので、当サイトからは「聞けます」とまでしか言えません。

3「完全消臭」という言葉より、数字と書面

法律の物差しでさえ「人が感じなくなるまで薄めて何倍か」という相対的な値です。「完全に消える」ことを保証する公的な基準は、この分野にはありません。だからこそ、期間と判定方法つきの書面が意味を持ちます。

会社選びの場面では

「臭気判定士が在籍」と書いてある清掃会社を見かけたら、それは国家資格者がいるという表示です。上で見たとおり、知識試験と嗅覚検査の両方を通った人ですから、においの評価について訓練された目(鼻)があることの根拠にはなります。

ただし、順番を忘れないでください。資格は「測れる人がいる」ことの証明であって、消臭の結果そのものを保証するものではありません。当サイトが繰り返し書いているとおり、確かめるべきは資格の名前より書面——どこまで染みているかの説明、行の分かれた見積、期間と判定方法つきの保証です(2つの資格の意味)。

よくあるご質問

機械で測ったほうが正確ではないのですか

成分ごとの濃度は機械が正確です。悪臭防止法にもアンモニアなど政令で定める特定悪臭物質の濃度規制があります。ただ、生活のにおいは多数の成分の混合で、機器の測定値と人の感じ方が一致しないことがあるため、人間の嗅覚で全体を評価する臭気指数という物差しが法律に置かれています。両方が併存しているのが現在の制度です。1

臭気判定士に測定を頼むと、いくらかかりますか

公的な料金基準は確認できませんでした。測定を業とする会社ごとの見積になります。頼む場面があるとすれば、原状回復や告知の場面で「においが残っていない」ことを第三者の測定で示したいときです。まず清掃の会社に、第三者測定を入れられるか聞いてみてください。

消臭保証には何と書いてもらえばいいですか

期間・判定の方法・再施工の範囲・費用の負担者の4点です。判定の方法は「誰が」「どうやって」まで具体的に。作業者本人の嗅覚だけによる判定は自己採点になるので、依頼者の立会い確認や第三者測定を含められないか相談してください。詳しくは「においが消えないとき」にまとめています。

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出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「悪臭防止法(昭和46年法律第91号)第1条・第2条・第11条〜第13条」https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000091(2026-08-15取得)
  2. 環境省(報道発表資料)「令和8年度臭気判定士試験 受験申請について(臭気判定士=国家資格の説明)」https://www.env.go.jp/press/press_05066.html(2026-08-15取得)

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