はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

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コラム/亡くなった後の実務

部屋に、生きているものがいるとき先に決めるのは、
清掃より動物のことです。

お部屋を開けたら、犬や猫がいた。ご遺族からも、貸主・管理会社の方からも、実際にうかがう状況です。

この場合、清掃の相談より先にすることがあります。動物には餌と水が必要で、待てる時間が人の手続きよりずっと短いためです。順番から書きます。

段ボール箱を開ける手元

最初の24時間にすること

1水と餌。それから体の状態を見る

何日置かれていたか分からない場合は、水を先に。急に大量に与えないでください。ぐったりしている、痩せている、足元がふらつくといった様子があれば、動物病院に電話で相談してください。

2その場から出せるかどうかを決める

お部屋がにおいや汚れで作業を要する状態であれば、動物をそこに置いたまま清掃は始められません。先に移すか、一時的に預けるかを決めます。

3飼い主が誰だったかを確かめる

犬なら鑑札と注射済票、首輪の迷子札。犬猫ともマイクロチップが入っていることがあります。動物病院で読み取ってもらえます。登録があれば、飼い主の情報がたどれます。

4他の相続人に伝える

次の章のとおり、動物も相続の話に入ります。誰が引き取るかを一人で決めてしまうと、後で問題になることがあります。

お部屋そのものの順番は発見された直後の方へにまとめました。動物の保護が済むまで、清掃の着手は待てます。

法律の上では、誰のものになるのか

気持ちのうえでは家族ですが、法律の扱いは違います。動物は飼い主の所有物として扱われるため、亡くなった時点で相続財産に含まれます。相続人が数人いれば、その共有です1

ですので、「私が連れて帰る」と一人で決めるのではなく、他の相続人に伝えておくほうが安全です。とはいえ、待っている間に動物の状態が悪くなってはいけません。保護を先にして、あとで話すという順番で構いません。

動物愛護法は、所有者について次のように定めています。

動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。

動物の愛護及び管理に関する法律 第7条第4項2

この「終生飼養」という言葉が、次の章の引取りの条件にも出てきます。

引き取る場合──30日以内に、2つ

ご家族やご親族が引き取られる場合、手続きがあります。どちらも30日です。

何をどこにいつまでに
犬の所有者の変更の届出犬の所在地を管轄する市町村長30日以内3
マイクロチップの変更登録環境大臣(指定登録機関)取得の日から30を経過する日まで2

条文を引きます。まず犬の登録のほうです。

登録を受けた犬について所有者の変更があつたときは、新所有者は、三十日以内に、厚生労働省令の定めるところにより、その犬の所在地を管轄する市町村長に届け出なければならない。

狂犬病予防法 第4条第5項3

マイクロチップのほうは、登録を受けた犬猫を登録証明書とともに譲り受けた場合に、取得した日から30日を経過する日までに変更登録を受けなければならないと定められています2

2つが1つで済む場合があります

動物愛護法39条の7は、マイクロチップの登録・変更登録について、狂犬病予防法4条の登録や届出があったものとみなす特例を定めています2。ただしこれは、犬の所在地を管轄する市町村長の求めがあるときに環境大臣が通知する、という仕組みの上に成り立っています。

お住まいの市町村がこの連携をしているかどうかは、市町村によります。マイクロチップの変更登録をしたあとで、市町村の窓口に「犬の登録の変更も要りますか」と一度確認してください。二重に出しても不利益はありません。

なお、引き取ったあとに犬が亡くなった場合も、30日以内の届出が必要です3。所在地を変えたときも同じです。

引き取れない場合

ご自身の住まいがペット不可、アレルギーがある、遠方に住んでいる。引き取れない事情は珍しくありません。

条文はこうなっています。

都道府県等は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。

動物の愛護及び管理に関する法律 第35条第1項2

原則は「引き取らなければならない」で、拒否できる場合が定められている、という構造です。飼い主が亡くなったという事情がどう扱われるかは、自治体の判断になります。

名古屋市の案内は、次のようになっています4

  • まず新しい飼主を探す「全力で新しい飼主をさがしてください」と書かれています。
  • 見つからない場合は相談どうしても見つからない場合、動物愛護センターに電話等で相談する流れです。
  • 理由の判断がある「飼えなくなった理由が適正と判断できる場合のみ」所有権放棄の手続きを行うとされています。
窓口電話受付
名古屋市 動物愛護センター(引取りの窓口)052-762-0380月曜〜土曜(祝日除く)8時45分〜16時
名古屋市 人とペットの共生サポートセンター(飼主探しの相談)052-681-2211平日10時〜16時30分

名古屋市の案内より4,5。お住まいの市町村では窓口が異なります。

引取りには手数料がかかります。名古屋市の場合です5

対象手数料(1頭)
生後91日以上の犬8,000
生後90日以下の犬2,700
生後91日以上の猫5,000
生後90日以下の猫1,700

引取り=その先が決まる、ということではありません

ここを不安に思われる方が多いので、条文を置いておきます。動物愛護法35条4項は、引取りを行った犬猫について次のように定めています。

殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。

動物の愛護及び管理に関する法律 第35条第4項2

努力義務であって、結果を約束する条文ではありません。ただ、行政が向いている方向は書かれています。あわせて、都道府県知事等は動物の愛護を目的とする団体などに引取りや譲渡しを委託することができるとも定められています2。地域の保護団体に相談する道も、制度の中にあります。

清掃との順番

お部屋の作業と動物の保護は、必ず動物が先です。理由は3つあります。

  1. 一 薬剤と機器が使えない

    消毒剤や脱臭の機器を使う作業では、その間、人も動物も室内に入れません。オゾンについては国が示している数字があります(オゾンの記事)。

  2. 二 動物が汚れの発生源になっていることがある

    長く置かれていた場合、排泄物が床材に浸みています。動物がそこにいる間は、清掃してもまた元に戻ります。

  3. 三 搬出のときに逃げる

    家財を運び出すと、玄関が開いたままになります。猫は特に、この場面で外へ出ます。

見積の段階で「動物が室内にいます」と伝えてください。預け先の手配まで面倒を見る会社もあります。会社によって対応が違うので、確かめる価値があります。

生前に決めておけること

ご自身のことを考えておられる方に向けて、少しだけ書きます。ペットの行き先は、生前に決めておける項目のひとつです。

  • 預け先の約束ご家族・ご友人に、名前と連絡先を書いて渡しておく。いちばん簡単で、いちばん効きます。
  • 飼育の費用の手当て引き取る側の負担になります。費用を残す方法については専門家にご相談ください。
  • かかりつけの動物病院とワクチンの記録引き取る側が困らないよう、1枚にまとめておきます。
  • マイクロチップと登録の情報登録証明書の保管場所を、ご家族に伝えておいてください2

この種の準備の全体像は終活のページ生前整理の記事に、亡くなった後の事務を人に頼む契約については死後事務委任の記事にまとめました。

この記事の要点

よくあるご質問

賃貸の管理会社ですが、部屋に猫が残されています。勝手に動かしていいですか

動物は相続財産にあたるため、所有権の扱いは相続人との話になります。ただし、餌も水もない状態を放置することはできません。相続人に連絡を取りつつ、動物愛護センターや保健所に状況を伝えて相談してください。名古屋市の窓口は動物愛護センター(052-762-0380)です。2,4

犬の鑑札が見つかりません。届出はできますか

市町村の窓口に事情を伝えてご相談ください。登録の内容は市町村の原簿にあります。鑑札の再交付や、所有者の変更の届出について案内を受けられます。3

引き取ってもらう以外に、方法はありませんか

動物愛護法は、都道府県知事等が動物の愛護を目的とする団体などに引取りや譲渡しを委託できると定めています。地域の保護団体に相談する道もあります。名古屋市には飼主探しの相談窓口(人とペットの共生サポートセンター 052-681-2211)もあります。2,5

動物がいた部屋のにおいは、通常の特殊清掃で消えますか

排泄物が床材や下地に浸みている場合、表面の清掃では戻ることがあります。発生源をどこまで開けるかによります。見積のときに「動物がいた期間」を伝えてください。脱臭の方式による違いは別の記事にまとめています。

次に読むページ

出典

  1. e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第7条・第11条・第15条・第465条の2・第465条の4・第621条・第653条・第654条・第656条・第885条・第896条・第897条・第898条・第899条・第904条の3・第906条・第907条・第909条の2・第915条・第921条・第939条・第940条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-18取得)
  2. e-Gov法令検索(昭和48年法律第105号)「動物の愛護及び管理に関する法律(第7条第4項 終生飼養/第35条 犬及び猫の引取り/第39条の6 変更登録/第39条の7 狂犬病予防法の特例)」https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC1000000105(2026-08-18取得)
  3. e-Gov法令検索(昭和25年法律第247号)「狂犬病予防法(第4条 登録。所有者の変更があったときは新所有者が30日以内に届出、犬が死亡したときも30日以内)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC1000000247(2026-08-18取得)
  4. 名古屋市「犬・猫等が飼えなくなったとき(「全力で新しい飼主をさがしてください」。飼えなくなった理由が適正と判断できる場合のみ引取り)」https://www.city.nagoya.jp/kurashi/pet/1015473/1015489/1015491.html(2026-08-18取得)
  5. 名古屋おしえてダイヤル(名古屋市)「ペットをこれ以上飼い続けられなくなったので相談したい(引き取ってほしい)(引取り窓口・日時・手数料。2024年4月1日更新)」https://faq.city.nagoya.jp/faq/detail.aspx?id=1963(2026-08-18取得)

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