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コラム/相続と手続き
相続の期限のなかでいちばん短いのが、
10か月です。
相続登記は3年、遺産分割の主張は10年。そのどちらより先に来るのが、相続税の10か月です。
そして誤解されやすいのがここです。きょうだいで話がまとまっていなくても、10か月は待ってくれません。
起算点は「知った日の翌日」です
…その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内…に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
相続税法 第27条第1項1
亡くなった日ではなく、相続の開始を知った日の翌日から数えます。疎遠だった親族の場合、連絡が来た日が起算点になり得ます。
ただし、全員が申告するわけではありません。条文は、課税価格の合計額が「その遺産に係る基礎控除額を超える場合」で、かつ相続税額があるときに申告を求めています1。
基礎控除の金額は、ここには書きません
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という式が広く知られていますが、当サイトはその根拠条文(相続税法15条)の原文を確認していないため書きません。
ご自身が申告の対象になるかどうかは、税務署または税理士にご確認ください。国税庁も相続税の申告と納税について案内を出しています2。
まとまっていなくても、申告は来ます
ここがこのページでいちばんお伝えしたいところです。
…当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法(第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分…に従つて当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。
相続税法 第55条1
つまり「話し合いが終わってから申告する」ではありません。10か月の時点で分割が終わっていなければ、法定相続分で取得したものとして計算して申告するという建付けです。
あとから分割がまとまり、課税価格が変わった場合の道も、同じ条文に書かれています。
ただし、その後において当該財産の分割があり…課税価格が…異なることとなつた場合においては、当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは…更正の請求をし、又は税務署長において更正若しくは決定をすることを妨げない。
同条ただし書1
後から直す仕組みはあるということです。ただし、それは「10か月を過ぎてよい」という意味ではありません。
相続の期限は、3本あります
| 期限 | 何の期限か | 起算点 |
|---|---|---|
| 3か月 | 相続放棄・限定承認の熟慮期間 | 自己のために相続の開始があったことを知った時3 |
| 10か月 | 相続税の申告 | 相続の開始があったことを知った日の翌日1 |
| 3年 | 相続登記(過去の相続は2027年3月31日) | 所有権を取得したことを知った日 |
| 10年 | 特別受益・寄与分の主張 | 相続開始の時3 |
順に来ます。最初の3か月がいちばん取り返しがつきません(相続放棄と、部屋の片付け)。片付けに手をつけると放棄ができなくなることがあるためです。
相続登記は相続登記の義務化、10年のほうは遺産分割の10年ルールにまとめました。
10か月のうちに、やること
1何があるかを洗い出す(最優先)
申告するにも、分けるにも、これが先です。不動産は名寄帳でまとめて確認できます。片付けのときに、固定資産税の納税通知書・通帳・保険証券・売買契約書を捨てないでください。
2申告が要るかどうかを、早めに確かめる
課税価格の合計額が基礎控除額を超えるかどうかで変わります1。「たぶん要らない」で放置しないでください。税務署でも相談できます。
3まとまらなくても、申告の準備は進める
55条があるので、分割が終わっていなくても申告はできます1。話し合いの決着を待たないでください。
4費用が用意できない場合
凍結された口座から一定額を払い戻せる制度があります(凍結された口座から出せる分)。ただし相続放棄を考えている場合は触らないでください。
よくあるご質問
10か月はいつから数えますか
相続税法27条は「その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内」としています。亡くなった日ではなく、相続の開始を知った日の翌日が起算点です。1
きょうだいで話がまとまりません。申告はどうなりますか
相続税法55条は、まだ分割されていない財産について、民法の規定による相続分(寄与分を除く)に従って取得したものとして課税価格を計算するとしています。まとまっていなくても申告はできますし、後から分割がまとまって課税価格が変わった場合は、申告書の提出や更正の請求ができるとも書かれています。1
相続税がかかるかどうか、自分で分かりますか
当サイトでは基礎控除の金額を書いていません。根拠条文の原文を確認していないためです。課税価格の合計額が基礎控除額を超えるかどうかで決まるので、税務署または税理士にご確認ください。1
10か月を過ぎてしまいました
当サイトでは対応をお答えできません。加算税や延滞税の取扱いは条文を確認していない領域です。できるだけ早く税務署または税理士にご相談ください。
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出典
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「相続税法(昭和25年法律第73号)第27条(相続税の申告書)・第55条(未分割遺産に対する課税)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073(2026-08-13取得)
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm(2026-08-04取得)
- e-Gov法令検索(デジタル庁)「民法(明治29年法律第89号)第885条・第896条・第904条の3・第909条の2・第921条・第939条・第940条・第621条・第653条・第654条・第656条・第465条の2・第465条の4・第7条・第11条・第15条」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089(2026-08-13取得)
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