はじめての特殊清掃亡くなった後の部屋を、最初に任せる一社を。

コラム/統計の読み方

数字の出どころ相続税がかかったのは、
亡くなった方の10.4%です。

親御さんが亡くなり、実家の片付けを進めながら「うちにも相続税がかかるのだろうか」と気にかかっている。まわりに聞ける相手がいないまま、期限だけが近づいている。そういう段階の方に向けて書きます。

ここで扱うのは割合の話だけです。いくらから、という金額は書きません。国税庁と名古屋国税局が公表した令和6年分の集計から、全国と、愛知・岐阜・三重の課税割合を並べます。

机に広げた書類と電卓、ルーペ

10.4%は、何を何で割った数字か

国税庁が令和7年12月に「令和6年分 相続税の申告事績の概要」を公表しています。まず、そこに出ている3つの数を並べます1。

  • 1,605,378人令和6年分の被相続人数(死亡者数)。前年対比101.9%です1。
  • 166,730人そのうち、相続税の申告書の提出に係る被相続人数。前年対比107.1%1。
  • 10.4%課税割合。上の数を下の数で割った値です。令和5年分は9.9%で、0.5ポイント上がりました1。

分母の死亡者数は、国税庁が自前で数えたものではありません。資料の注に「『被相続人数(死亡者数)』は、『人口動態統計』(厚生労働省)のデータに基づく」と書かれています1。分母は人口統計、分子は税務データという組み合わせです。

分子のほうにも、読むときに外せない断りがあります。この表の本書は相続税額のある申告書の計数で、相続税額のない申告書は外書として別に集計されています1。令和6年分の外書は全国で39,755人でした1。

申告書を出した人は、10.4%より多い

本書の166,730人と外書の39,755人1を足して、分母の1,605,378人で割ると、約12.9%になります。これは当サイトが足して割った数字で、国税庁が公表している課税割合ではありません。

公表されている10.4%は、税額が生じた分だけの割合です。「申告書を出した人の割合」ではないので、他の記事の数字と比べるときは、どちらの意味で使われているかを確かめてください。

もうひとつ。令和6年分の数字は令和7年10月31日までに提出された申告書(修正申告書を除く)のデータで作られています1。締切日で切った時点の姿であって、確定した最終値ではありません。

同じ商圏のなかで、1.8倍の開きがあります

全国の数字だけでは、ご自身の地域のことは分かりません。国税局ごとにも同じ資料が出ていて、名古屋国税局のものには県別の別表が付いています2。管内は岐阜県、静岡県、愛知県、三重県の4県です2。

区分被相続人数
(死亡者数)
申告書の提出に
係る被相続人数
課税割合前年からの差
全国1,605,378人166,730人10.4%0.5ポイント1
名古屋国税局管内182,114人23,684人13.0%0.5ポイント2
愛知県82,618人13,398人16.2%0.7ポイント2
静岡県49,100人5,591人11.4%0.4ポイント2
岐阜県26,392人2,569人9.7%0.0ポイント2
三重県24,004人2,126人8.9%0.5ポイント2

国税庁および名古屋国税局「令和6年分 相続税の申告事績の概要」(令和7年12月)より1,2。課税割合は各資料が計算して載せている値です。前年からの差は、資料の「対前年比」欄のポイント表示をそのまま引きました。

愛知の16.2%と三重の8.9%を割ると、約1.8倍になります(当サイトの割り算です)。県境をひとつまたぐと、これだけ違います。全国の10.4%を挟んで、愛知が5.8ポイント上、三重が1.5ポイント下という位置関係です1,2。

名古屋・一宮・岡崎と、大垣・多治見と、四日市・津。当サイトが会社を並べている範囲は、この3県にまたがっています。愛知県のページで見ている方と、岐阜県のページや三重県のページで見ている方とでは、相続税の申告が要る家の割合が、はじめから違うということです。

差が出ている理由は、資料に書かれていません

国税庁の資料も名古屋国税局の資料も、被相続人数・申告件数・課税価格・税額を並べた集計で、県ごとの高低について理由を説明した記述はありません1,2。

地価や世帯の資産構成を持ち出せばもっともらしい説明はできますが、それは当サイトの推測になります。ここでは書きません。

動いているのは愛知です

割合そのものより、動き方のほうが読者の役に立つことがあります。令和5年分から令和6年分にかけての1年で、上がり幅がいちばん大きかったのは愛知県の0.7ポイントでした2。全国と管内と三重が0.5ポイント、静岡が0.4ポイント、岐阜は0.0ポイントです1,2。

愛知の別表を、もう少し細かく見ます。申告書の提出に係る被相続人数は対前年比107.4%で増えました2。いっぽうで被相続人1人当たりの課税価格は対前年比94.3%、税額は91.3%と下がっています2。

当サイトの読み方を書きます。申告する家が増え、1件あたりは小さくなっている。そう読める動きです。ただしこれは2年分の数字から言えるところまでで、資料はそこまで書いていません。同じ向きが続くかどうかは、次の年の公表を見てからになります。

この割合は、地域の平均です

愛知県が16.2%だからといって、愛知県にお住まいのご家庭の6軒に1軒に相続税がかかる、という意味ではありません。分母は世帯ではなく亡くなった方の数です2。

10.4%をあえて言い換えるなら「亡くなった方およそ10人につき1人」、愛知の16.2%なら「およそ6人につき1人」になります(いずれも当サイトが割り算したものです)。それでも、ご自身の家がどちらに入るかは、この数字では決まりません。

いちばん多いのは、土地ではありません

同じ資料に、相続財産の金額の内訳が載っています。片付けの現場に立っている方にとっては、こちらのほうが実感に近いはずです。

令和6年分全国名古屋国税局管内
現金・預貯金等85,602億円10,961億円
土地74,074億円10,461億円
有価証券43,676億円5,455億円
その他30,162億円3,603億円
家屋11,901億円1,684億円
合計245,415億円32,165億円1,2

国税庁および名古屋国税局「令和6年分 相続税の申告事績の概要」参考計表4より1,2。両資料とも、この表は相続税額のある申告書(修正申告書を除く)のデータで作られています1,2。相続全体の姿ではなく、税額が生じた家の内訳です。

現金・預貯金等が土地を上回っています。これは最近になって起きた入れ替わりで、同じ表を平成27年分までさかのぼると、順序が変わった年を特定できます1,2。

  • 全国は令和3年分土地65,428億円に対して現金・預貯金等66,846億円。この表が載せている平成27年分以降で、はじめて上下が入れ替わりました1。
  • 管内は令和5年分土地10,262億円に対して現金・預貯金等10,571億円。前の令和4年分は土地10,061億円・現金・預貯金等10,035億円で、差は26億円まで詰まっていました2。

年分の特定と26億円という差は、当サイトが表の各行を読んで比べたものです。資料の本文に「令和3年分に逆転した」とは書かれていません。

片付けで出てくる紙が、そのまま資料になります

相続財産の多くが現金・預貯金等だということは、遺されたものの中身が口座に寄っているということです1。そして口座は、家の中を歩いても見えません。見えるのは紙のほうです。

1通帳・キャッシュカード・金融機関からの封筒

口座の所在は、これでしか分かりません。使っていない金融機関からの郵便物も、同じ束にまとめて残してください。仏壇の引き出し、本棚の隙間、タンスの奥から出てくることがあります。

2固定資産税の納税通知書

土地と家屋の手がかりです。ここに出ていない不動産もあるので、あわせて名寄帳で市町村ごとに洗い出します。私道や山林が後から出てくるのは、この段階です。

3証券会社・保険会社からの書類

取引報告書、保険証券、契約内容のお知らせ。有価証券は全国で43,676億円あり、金額としては家屋より大きい費目です1。紙が届かない口座もあるので、画面のなかの遺品もあわせてご覧ください。

4貸金庫の鍵とカード、印鑑

鍵だけが出てきて、どこの貸金庫か分からない、という相談があります。鍵に付いていた札や、金融機関の紙袋も一緒に残してください。

期限のほうも先に書いておきます。相続税の申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です3。話し合いがまとまっていなくても、この期限は動きません(相続税の申告は10か月)。

そして、遠方にお住まいの方が見落としやすい一行があります。国税庁は申告書の提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地を所轄する税務署ではないと明記しています4。実家が愛知県にあってご自身が県外にお住まいなら、行き先は実家側の税務署です。

相続放棄を考えている場合は、先に順番を確かめてください

預貯金を引き出す、家財を処分するといった行為が、後の判断に影響することがあります。迷っている段階では、手を付ける前に相続放棄と、部屋の片付けをご覧ください。

片付けそのものに法律上の期限はありません。急ぐ必要があるのは手続きのほうです。

この割合で分かること、分からないこと

最後に、この記事で書けることと書けないことを分けておきます。

この数字で分かることこの数字では分からないこと
地域ごとに、どのくらいの割合で相続税額のある申告書が出ているか2ご自身の家に相続税がかかるかどうか
その割合が、前の年からどちらへ動いたか2市区町村ごとの割合(公表は県別まで)
税額が生じた家の財産が、どの費目に寄っているか1県ごとに差が出ている理由

国税庁は、申告と納税が必要なのは取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合であり、「その取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません」としています4。

その基礎控除額がいくらかを、当サイトは書きません。根拠となる条文の原文を確認していないためです。この方針は相続税の申告は10か月から変えていません。

ご自身が対象になるかどうかは、税務署または税理士にご確認ください。提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署です4。当サイトは、会社の許可と見積の内訳を確かめて並べている立場です。税額の判断はできません。

この記事の要点

よくあるご質問

名古屋市だけの課税割合は分かりますか

名古屋国税局が公表している別表は、岐阜県・静岡県・愛知県・三重県の4県それぞれまでです。市区町村ごとの課税割合を示した公的な集計は、当サイトの調査では確認できませんでした。愛知県全体の値である16.2%を、そのまま名古屋市の値として扱うことはできません。2

申告書を出したのに税額がゼロだった場合、この10.4%に入っていますか

入っていません。国税庁の表は、本書に相続税額のある申告書の計数を、外書に相続税額のない申告書の計数を分けて載せています。課税割合は本書のほうで計算された値です。相続税額のない申告書に係る被相続人数は、令和6年分で全国39,755人、愛知県3,021人でした。1,2

なぜ愛知県は高いのですか

国税庁と名古屋国税局のどちらの資料にも、県ごとの高低について理由を説明した記述はありません。件数と金額を並べた集計だからです。当サイトでも判断できませんので、理由については書いていません。1,2

うちに相続税がかかるかどうか、この割合から見当をつけられますか

できません。課税割合は地域全体の平均であって、個々のご家庭の判定には使えません。国税庁は、取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ないとしています。当サイトはその基礎控除額の金額を書いていません。根拠条文の原文を確認していないためです。税務署または税理士にご確認ください。4

次に読むページ

出典

  1. 国税庁「令和6年分 相続税の申告事績の概要(令和7年12月。被相続人数(死亡者数)1,605,378人・前年対比101.9%、相続税の申告書の提出に係る被相続人数166,730人・同107.1%/外書39,755人、課税割合(②/①)令和5年分9.9%→令和6年分10.4%・0.5ポイント。注2「『被相続人数(死亡者数)』は、『人口動態統計』(厚生労働省)のデータに基づく」、注1 令和6年分は令和7年10月31日までに提出された申告書(修正申告書を除く)データ、注4 本書=相続税額のある申告書/外書=相続税額のない申告書。参考計表4 相続財産の金額(令和6年分・億円)土地74,074/家屋11,901/有価証券43,676/現金・預貯金等85,602/その他30,162/合計245,415。同表の平成27年分以降で現金・預貯金等が土地を上回るのは令和3年分(65,428対66,846)から)」https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sozoku_shinkoku/pdf/sozoku_shinkoku.pdf(2026-09-05取得)
  2. 名古屋国税局「令和6年分 相続税の申告事績の概要(令和7年12月。管内=岐阜・静岡・愛知・三重の被相続人数182,114人・前年対比102.1%、申告書の提出に係る被相続人数23,684人・同106.3%、課税割合12.5%→13.0%。別表【愛知県】82,618人/13,398人・同107.4%/16.2%・前年15.5%・0.7ポイント/外書3,021人/1人当たり課税価格 対前年比94.3%・税額 同91.3%、【静岡県】49,100人/5,591人/11.4%・0.4ポイント/外書1,144人、【岐阜県】26,392人/2,569人/9.7%・前年9.7%・0.0ポイント/外書469人、【三重県】24,004人/2,126人/8.9%・前年8.4%・0.5ポイント/外書381人。参考計表4 管内の相続財産の金額(令和6年分・億円)土地10,461/家屋1,684/有価証券5,455/現金・預貯金等10,961/その他3,603/合計32,165。同表で現金・預貯金等が土地を上回るのは令和5年分(10,262対10,571)から、令和4年分は10,061対10,035)」https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/release/r07/sozoku_shinkoku/sozoku_shinkoku.pdf(2026-09-05取得)
  3. e-Gov法令検索(デジタル庁)「相続税法(昭和25年法律第73号)第27条(相続税の申告書)・第55条(未分割遺産に対する課税)」https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000073(2026-08-13取得)
  4. 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税([令和8年4月1日現在法令等]。「その取得した財産の価額の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内であれば申告も納税も必要ありません」/申告書の提出先は被相続人の住所地を所轄する税務署であり相続人の住所地ではない)/申告期限は「被相続人が死亡したことを知った日(通常の場合は、被相続人の死亡の日)の翌日から10か月以内」」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm(2026-08-04取得)

会社の許可・料金・サービス内容は変わります。当サイトは取得日を添えて記録していますが、依頼の前にご自身でも最新の内容をご確認ください。